通算13発すべてソロ、登録名&背番号変更…奮起待たれるDeNAのドラ1たち

昨季、球団史上初のクライマックスシリーズ(CS)進出を果たしたDeNA。戦力になりきれなかった元ドラ1戦士もいる。果たして、19年ぶりのリーグ優勝へ巻き返しはなるのか。かつての筒香と同様に覚醒が待たれるのが、5年目の白崎浩之だ。

DeNA・白崎浩之【写真:編集部】

筒香、今永、須田、活躍するドラ1も…覚醒待たれる“逸材”は?

 昨季、球団史上初のクライマックスシリーズ(CS)進出を果たしたDeNA。その立役者となったのが、4番の筒香嘉智。09年のドラフト1位で入団以来、期待され続けた「ハマの大砲」がついに覚醒し、打線をけん引した。投手陣を見ても、05年の高校生1位・山口俊がチームトップの11勝、15年1位・今永昇太はルーキーながら8勝、10年1位・須田幸太がチーム最多の62試合登板するなど、大きく貢献した一方、戦力になりきれなかった元ドラ1戦士もいる。果たして、19年ぶりのリーグ優勝へ巻き返しはなるのか。

 かつての筒香と同様に覚醒が待たれるのが、5年目の白崎浩之だ。

 駒大の大先輩である中畑監督(当時)の期待を受け、12年にドラフト1位で入団。パンチ力のある大型ショートとして注目されていたが、歯がゆいシーズンが続いた。毎年のようにレギュラー候補と目され、昨季から指揮を執ったラミレス監督も「1番・三塁」として構想を描いていたが、出場92試合で打率.207、6本塁打、12打点と定位置をつかめなかった。

 打撃練習での飛距離は抜群で、潜在能力は間違いない。課題は勝負強さだろう。デビュー以来、13本塁打がすべてレフトスタンドへのソロという珍記録に象徴されるように、ここぞの場面での勝負強さを身に着けたいところ。

「試合に出られるなら」と昨秋の秋季キャンプでは本職のサードだけでなく、セカンドに挑戦していた。セカンド、サードには昨季5番を打った宮崎がいるが、あとはエリアン、シリアコ、石川、田中浩ら流動的なだけに、背番号6の素質が花開けば、チームにとって大きな戦力となるのは間違いない。

登録名&背番号変更した外野手、3球団競合の外れ1位右腕も

 筒香の前年にドラフト1位指名されていたのが、9年目の松本啓二朗だ。

 08年に阪神との2球団競合の末に早大からドラフト1位で入団。しかし、即戦力外野手として期待されながら打撃で苦しみ、入団以来、1軍に定着できず。登録名を「啓二朗」に一時変更し、14年から背番号6から61に変更。30歳を迎えた昨季は怪我もあって自己ワーストの11試合出場にとどまり、苦しいシーズンとなった。

 それでも、昨年11月の契約更改では球団から「まだ期待している」と言葉をかけられた。ファームでは本職ではないファーストもこなし、「1軍にいられるなら、なんでもやる」と意気込みを見せた松本。外野は筒香、梶谷、桑原がそろって層は厚いが、若いチームで1軍に定着できれば、貴重な中堅組として頼れる存在となるはずだ。

 近年の1位指名で歯がゆい思いをしている投手もいる。4年目の柿田裕太だ。

 13年のドラフトで桐光学園・松井裕樹(現楽天)の交渉権を外した後、阪神、日本ハムとの3球団競合の末に引き当てた。小林誠司(現巨人)ら日本生命から4人同時に指名を受け、鳴り物入りで入団。内角に投げ込む強気な投球を売りとしていた右腕はローテーション投手として期待を受けたが、制球にも苦しみ、3シーズンで1軍登板なし。今オフに背番号13から91に変更された。

 背水のシーズン、今年25歳を迎える。キャンプは2軍スタートとなったが、先発・中継ぎ問わずに結果を残し、若手との競争に勝って1軍昇格を目指すしかない。特に先発陣が山口がFAで巨人へ移籍し、右の日本人の先発候補が手薄なだけに、存在をアピールするチャンスでもある。

 ドラフト1位はスカウト陣が見つけ出した逸材を球団が見込んで、いの一番に指名する選手たちである。仮に結果が出ていなくても、その期待に応えるチャンスはユニホームを着ている限り、ある。19年ぶりの優勝を目指すチームで、そんな元ドラ1たちが奮起できるのか。それは、今季のDeNAにとって一つの見ものでもある。

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