【非鉄流通のいま】〈業界大手の銅原料問屋・木村金属工業〉ナゲット銅生産が強み

木村金属工業は、1952年11月設立の銅原料問屋。従業員数は30人。銅スクラップ・電気銅などの月間扱い数量は約2千トンでその規模は関西トップクラス。本社以外の拠点は大正倉庫(大阪市大正区)、有田工場(和歌山県有田郡有田川町)の2カ所。有田工場は71年に公害処理のためのナゲット工場として開設され、日本初のナゲット銅生産設備の導入で知られる。

大正倉庫

木村社長は「扱っている95%が銅系スクラップや電気銅で、特に1号銅線やナゲット銅など上物(ウワモノ)や山行故銅が得意。昨年11月のトランプショックで銅価が一気に急騰、市中発生は大幅に増えスクラップは購入しやすくなった」と話す。

2カ月余が経過しメーカーへの供給数量以上に在庫は膨んでおり、今後の課題は売り先の確保に尽きるという。「3月までは、決算期を迎えるメーカーが多くスクラップ在庫を極力減らす傾向のため、市中で荷余り感があるだろう。足元の銅相場は安定し高値圏だが、世界情勢に大きく左右されるマーケットなので注視したい」(木村社長)。扱いは三菱マテリアル、三菱伸銅、三菱電線工業など。

有田工場は銅線を粉砕した赤ナゲット、白ナゲット(錫引銅線を粉砕したもの)、雑ナゲット(雑線を粉砕したもので錫引、真鍮、アルミの混入あり)を足元で月間約400トン生産。「関西ではこの規模でナゲット銅を手掛ける業者は数少ない。被覆線粉砕ラインは2基(2基で月間能力1500トン)あるが、需要量に応じ1基のみを稼働させている。ハーネス線や家電線の粉砕が可能で、ナゲット全種を生産できることが大きな強み。一方、産廃屑の処理と仕入れが課題だ」(木村社長)。

新たな取り組みでは、大正倉庫でのプレス加工の強化がある。「単に売買するだけでは業容の発展は無い」(同)として、1号銅線やエナメル線などをプレス加工、検品まで行い顧客に届ける。プレス加工は現在月間200~300トンだが、倍増を目指す。

「静脈産業と呼ばれる金属スクラップ業界で、当社はサプライヤーとしてその一端を担う。顧客のため、社会のために、業容の拡充に努める」(同)。(白木 毅俊)

会社概要

▽資本金=1千万円▽年商=107億1200万円(16年8月期実績)▽本社所在地=大阪市阿倍野区天王寺町北三丁目16番9号▽社長=木村尚史氏▽大正倉庫TEL=06―6555―2201▽主な扱い商品=各種非鉄金属地金や故銅の輸入ならびに国内販売、被覆線の粉砕加工およびナゲット販売

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