もっと知って「吉田新田」 開墾350年 演劇、仮装行列でPR

 江戸時代、横浜の中心部に「吉田新田」が開墾されて今年で350年。現在の中、南区にまたがる地域の開墾は、横浜発展の基礎を築いたとされる。地元では、YS350(横浜吉田新田350周年記念プロジェクト)実行委員会が発足。5月のザよこはまパレード(国際仮装行列)をはじめ各種イベントでアピール、地域の活性化につなげたいと意気込んでいる。

 吉田新田は大岡川と中村川、JR根岸線に囲まれた釣り鐘状のエリア。広さは約115万5千平方メートルに及ぶ。かつて入り海だったところを、江戸の木材・石材商吉田勘兵衛が中心となって干拓。雨の影響で潮除堤が決壊するなどの苦難の末、1667年に完成した。

 昨年11月に発足した実行委は、関内周辺の商業者らでつくる「関内・関外地区活性化協議会」の下部組織との位置づけ。委員長には、保険調剤薬局などを運営するコージーファーマシー(南区)代表取締役で、横浜橋通商店街協同組合副理事長の高橋一成さん(66)が就任した。

 今月29日には、吉田新田とそれにまつわる人々を題材にした横浜市民ミュージカル「おさん伝説〜遙かなる時をこえて〜」が、関内ホール(中区)で公演。昨年の公演に続くもので、実行委は、団員や事務局を務める赤い靴記念文化事業団に協力を依頼。国際仮装行列で、歌やダンスを通じ、吉田新田の存在を広くアピールする考えだ。

 「他にもやりたいことはたくさんある」と高橋さん。みこし隊を結成し市内の各種イベントに参加したり、記念グッズを作るといった案も。また、地元の子どもたちへの啓発活動や、吉田新田の総鎮守・お三の宮日枝神社(南区)の2023年の創建350周年に向け、機運盛り上げにも注力したいという。

 一方、一連の活動を展開する上で、最大の課題は資金面だ。実行委では今後、落語会などのイベントを手掛け、その収益を活動資金に充てるとしている。

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