ドラ1トリオら若手を多数A組に抜擢したホークス、工藤監督の狙いは?

いよいよファンが待ちわびた球春が到来する。来たる2月1日、プロ野球各球団が各地でキャンプインする。昨季3年連続の日本一を逃したソフトバンクは例年通り、宮崎・生目の杜運動公園でキャンプを張る。約1か月間に渡り、体を鍛え、技を磨く日々を送ることになる。

ソフトバンク・工藤公康監督【写真:編集部】

近年のドラ1トリオらもA組入り、キャンプ組み分けから見える工藤監督の狙い

 いよいよファンが待ちわびた球春が到来する。来たる2月1日、プロ野球各球団が各地でキャンプインする。昨季3年連続の日本一を逃したソフトバンクは例年通り、宮崎・生目の杜運動公園でキャンプを張る。約1か月間に渡り、体を鍛え、技を磨く日々を送ることになる。

 キャンプインに先立ち、30日にキャンプでの組み分けが発表された。ドラフト1位ルーキーの創価大・田中正義や昨季のドラフト1位の高橋純平、一昨季のドラフト1位の松本裕樹と、近年のドラ1トリオが揃ってA組に入り、野手でも今季注目の「ミギータ」こと真砂勇介や釜元豪、そして育成選手の曽根海成もA組スタートとなった。

 その一方で摂津正や五十嵐亮太、松坂大輔といったベテラン組、右肘痛を抱える柳田悠岐はB組でのスタートになった。大部分の主力に加え、多くの若手がA組に名を連ねた今キャンプのメンバー構成。そこには工藤公康監督をはじめ、首脳陣の狙いが透けて見えてくる。

 3年目を迎える工藤体制。当初は今季が契約最終年だった指揮官だが、オフに契約延長に合意。2017年からの3年契約を新たに結び、2019年まで指揮を執ることとなった。球団が指揮官を高く評価したポイントの1つが育成面。昨季は武田翔太が2年連続の2桁勝利を達成し、千賀滉大が12勝、東浜巨も9勝を挙げた。若手が成長し、選手層がより厚みを増してきた。常勝軍団を構築するためには、さらなる戦力拡充、若手の突き上げが求められる。

若手のA組抜擢で生まれる競争意識と過酷なサバイバル

 先に記したように、このキャンプには多数の若手選手がA組に名を連ねた。ここには、期待はもちろん、「競争」の原理を働かせることも狙いにあるだろう。第1クールから投手陣のバッティングピッチャーでの登板が予定されており、その相手はもちろん若手の野手が中心となるだろう。早い段階でシート打撃などの実戦形式も組み込まれてくるはずだ。若手が結果を残せば、自ずと主力組にもプレッシャーはかかる。例年よりも早仕上げの感があるキャンプ。アピールの場になる反面、サバイバルの様相も色濃い。この「競争」こそが、ソフトバンクの戦力をもうワンランク上へと引き上げるテーマとなるに違いない。

 これまで工藤監督は「競争」の重要性をたびたび訴えてきた。常勝軍団を作るためには、競争が不可欠だ、と。若手をA組に置くことで「競争原理」を働かせ、主力に慢心を生ませない。そして、主力と練習させることで、若手たちの「成長」や「育成」につなげる。チーム全体の底上げを図るための1か月になるだろう。

 就任後の2年間で工藤監督自ら若手に練習メニューを課すなど、徹底的に体を鍛えさせてきた。そして、オフの自主トレの重要性も説いてきた。キャンプは指揮官にとって、オフの成果を確認する場でもある。

 工藤体制で3年目を迎える春のキャンプ。選手たちは指揮官はじめ、首脳陣から、より厳しい目を向けられるだろう。過酷なサバイバルを生き残り、開幕1軍の座をつかむのは、一体誰か。12球団イチの戦力層を誇るソフトバンク。宮崎の地で、熾烈な競争の日々が始まる。

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