〈新日鉄住金の日新製鋼子会社化〉公取委、条件付き承認

公正取引委員会は30日、新日鉄住金による日新製鋼の子会社化計画に対し、一部事業で問題解消措置がとられることを前提に、子会社化を承認するとの審査結果を発表した。両社はかねてより「2017年2月ごろをめどに、国内外の競争当局による承認取得後、TOBを実施(TOB後、必要に応じて第三者割当増資の払い込みを実施)。3月に子会社化」との計画を立てている。国内外の競争当局による承認がすべてそろったことを受け、子会社化に向けた具体的手続きを進める。なお、子会社化の出資比率は51%(昨年9月末時点は8・3%)としている。

公取委は両社に対し27日、問題解消措置を前提に排除措置命令を行わないと通知した。

公取委はシェアが高くなる(1)表面処理鋼板の一種である高耐食性溶融めっき鋼板(溶融亜鉛―アルミニウム―マグネシウム合金めっき鋼板)。日新のブランド名はZAM。新日鉄住金はスーパーダイマ(2)ステンレス冷延鋼板―の2品目について、競争を制限すると判断。独禁法上の対応を求めていた。

問題解決措置は(1)溶融亜鉛―アルミニウム―マグネシウム合金めっき鋼板は日新製鋼が神戸製鋼に「ZAM」の特許および製造ノウハウをライセンス供与(2)ステンレス冷延鋼板は日本冶金工業に対し競合している需要家などを中心とした需要者に関わる取引を譲渡―との内容。

公取・山田局長が会見 「国内シェアにこだわらず」

会見する公取委の山田・経済取引局長(右)

公正取引委員会は30日に山田昭典経済取引局長が会見し「今回の件は多くの鉄鋼取引に影響を及ぼす。約20の取引分野について審査したが、このうち2品目について競争制限に当たると判断した」と語った。

鉄鋼市場がボーダレス化し、グローバルに広がっている中で国内シェアにこだわったともみえるが「取引実態・需要家サイドの判断などを含め総合的に判断した。国内にこだわったわけではない」と述べた。

新日鉄住金と日新製鋼 「決定次第、TOB日程公表」

新日鉄住金と日新製鋼は30日、公正取引委員会から問題解消措置が実施されることを条件に排除措置を行わないとの通知書を27日に受領したと発表した。

新日鉄住金による日新製鋼の普通株式に対する公開買付け(TOB)の日程については「決定次第、速やかに公表する」としている。

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