ステンレス冷延鋼板 日本冶金に取引の一部譲渡 〈新日鉄住金の日新製鋼子会社化〉

ステンレスでは、新日鉄住金が自社生産に加え、薄板・厚板・棒線で国内総合首位の新日鉄住金ステンレス(NSSC)を擁する。片や日新は薄板でNSSCに拮抗する。溶接鋼管も国内1、2位をグループで占める。両者は「東アジア」を主張したが、公取委は「国内」を対象とした。

審査は(ニッケル系とクロム系に分ける)鋼種別ではなく品種別に行われ、最もシェアが高い冷延鋼板で問題解消措置を講じる。公取委は両鋼種の間に需要、供給の代替性が一定認められる一方、冷延鋼板と熱延鋼帯の間には代替性が認められないと判断した。

新日鉄住金、日新はグループ間で競合する需要家を中心とした取引について、日本冶金工業に需要者リストなど営業情報を提供する。規模は日新のニッケル系冷延が年1万4千トン相当、NSSCのクロム系冷延が年9千トン相当。いずれも両社における当該商品の数%に当たる。

また新日鉄住金と日新の合弁商社である日本鉄板の営業担当者が、今後6カ月、日本冶金工業かナス物産が販売するニッケル系冷延の営業支援活動(顧客情報の提供や営業先への同行)に従事する。営業情報の提供や営業支援は、協調的関係が生じないよう適切な情報遮断措置を講じる。

日本冶金に対する技術ノウハウのライセンス供与、OEM供給、受託加工、原板供給も行う。OEM供給と受託加工は、日本冶金が供給能力を拡大するまでの間、有効なけん制力を働かせるのが狙い。

OEM供給は日本冶金かナス物産に対し、日新がニッケル系冷延を2年間、NSSCがクロム系冷延を5年間行う。受託加工は5年間で、日本冶金のスラブの熱延(と冷延)委託、または日本冶金の熱延コイルの冷延受託を行う。

原板供給は必要に応じて5年間、日新がニッケル系熱延コイルを供給する。

日本冶金工業、休止設備再稼働も検討

日本冶金工業(社長・木村始氏)は30日、新日鉄住金、新日鉄住金ステンレス、日新製鋼から提案のあったステンレス冷間延鋼板の一部取引譲渡を受諾した、と発表した。

日新製鋼から譲渡を受けるニッケル系は年1万4千トン、新日鉄住金ステンレスから譲渡を受けるクロム系は年9千トンで当面はOEM供給を受けることからスタートするが、その後委託加工に移行する。OEMと委託加工の合計でニッケル系・年4万2千トン、クロム系・年2万7千トンの枠を設けることでも合意している。

OEM、委託加工を行っている間に自社製造の体制整備を進めるが、休止設備(冷延ミル、AP)の再稼働も検討する考えだ。

© 株式会社鉄鋼新聞社