新日鉄住金エンジの大規模沖合養殖システム、三重で海洋実証試験 17年度中の初受注目指す

小型いけすによる事前試験

新日鉄住金エンジニアリング(社長・藤原真一氏)は30日、三重県尾鷲市で大規模沖合養殖システムの海洋実証試験を実施すると発表した。大型浮沈式いけすを中核とするいけすシステムの実証試験を実施し、すでに鳥取県で実施中の自動給餌システムの試験の各確認を経て商業化に踏み切る。17年度中の商業1号機受注を目指す方針。

同試験では浮沈機能を有し有義波高7メートル、潮流2キロノットまで耐えられる沖合養殖用のいけすシステムを実海域に継続設置。浮沈機構、耐久性、使い勝手、魚の成長度合いなどを確認する。尾鷲物産および三重外湾漁業協同組合、尾鷲漁業協同組合の協力で実施するもので、期間は今年3月から来年3月まで。

生簀システムは耐波浪性能・耐潮流性能が高く、養殖可能海域は従来比約10倍程度拡大できる見込み。また、従来の小割いけすに対し大規模化による養殖魚の生産拡大も実現できるほか、潮通しのよい沖合域において低密度で飼育することで養殖環境の改善が見込める。

加えて、沈潜させることで赤潮被害の軽減も期待できる。同社では本システムを国内のみならず日本と同様に適切な養殖業海域が飽和状態となる海外向けにも輸出し、世界的な水産業の発展に貢献していく。

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