「隠れた名盤」上野優華『Sweet Dolce』 正統派の歌唱で華やかに

上野優華『Sweet Dolce』

 1998年徳島県出身の女性歌手。音楽を主軸としつつ、ドラマやグラビアでも活動する様子は昭和アイドルのパターンだが、正統派の歌唱こそがまさに昭和風だ。

 本編の全7曲は、『恋日記』や『Song for You』のような14歳から持ち味だった優しいバラードも上手いが、西野カナ風のコミカルな『だって君のカノジョだもん。』や大原櫻子風の明るいギターロック『恋するPretty Girl』など、甘い恋を描いた作品が増えて全体に華やかだ。また、収録曲中の約半数で作詞・作曲にも挑戦したり、全曲でコーラスに参加したり、音楽への取り組みも積極的で、歌声から思い入れの強さも伝わる。ブレークの素地は出来つつあるので今後が楽しみな一人だ。

 昨年発売の初アルバム『U Colorful』(初回盤)では、6枚のシングル曲のほか『天使のウインク』など20世紀の名曲カバーもあるので入門的にオススメ。彼女の作品を聴けば、真面目に頑張る人を見守りたくなるはず。

(キング・2037円+税)=臼井孝

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