12球団キャンプ一斉スタート 沖縄&宮崎で始動のパ球団初日の模様は?

2月1日、プロ野球全12球団が同時に2017年春季キャンプ初日を迎えた。明確なオフシーズンの終了とともに、ペナントレースに向けたチーム単位の調整がスタートする。

ソフトバンク・松坂大輔【写真:荒川祐史】

いよいよ始まった春季キャンプ

 2月1日、プロ野球全12球団が同時に2017年春季キャンプ初日を迎えた。明確なオフシーズンの終了とともに、ペナントレースに向けたチーム単位の調整がスタートする。

 パ・リーグTVでは、北海道日本ハムを除くパ・リーグ5球団のキャンプ中継配信が行われた。1日目から興味深いシーンがいくつも見られたその模様を、一部切り取って振り返りたい。

【楽天】

 沖縄県久米島で行われた楽天キャンプ。ブルペンには早速、エース・則本投手と、今季からチームの一員となった岸投手が揃い踏みした。

 3月に開催される「第4回ワールド・ベースボール・クラシック」でも活躍が期待される則本と、昨季100勝を達成した岸。2017年シーズンは、この2人のどちらかが開幕投手を務める可能性が高く、キャンプの初日からWエースが豪華な競演を果たす形となった。

 岸は、母校・東北学院大学のカラーでもある青色のグラブを使用し、則本とともに力強い投球を見せた。沖縄に訪れるのは2度目ということで、これまで親しんだものとは異なる環境、方法での調整となることが予想されるが、プロとしてのキャリアも十分。慣れない部分は経験でカバーしつつ、2か月後のシーズンでは、地元ファンの期待に応える活躍を見せてくれることだろう。

ルーキーたちも続々とブルペンへ

【埼玉西武】

 埼玉西武のキャンプは宮崎県日南市で始まった。侍ジャパンに選出されている牧田投手が初日からブルペン入りし、捕手を座らせて投げ込みを行ったが、何度も首を傾げ、自身の球に納得のいっていないような表情を見せた。

 しかし4年前の2013年に開催された「第3回ワールド・ベースボール・クラシック」や、「2014 SUZUKI日米野球」での牧田はしっかりと結果を残しており、大舞台における信頼感は日本球界でも随一だ。約1か月後、牧田が日の丸を背負い、侍ジャパンのピンチの場面に颯爽と登板する姿を楽しみにしたい。

 そして、2016年の夏の甲子園優勝投手であり、昨年のドラフト1位で埼玉西武に入団した今井投手もブルペン入り。まだ線の細い印象のある背中に「11」を背負い、一球一球を丁寧に投げ込んだ。

【千葉ロッテ】

 沖縄県石垣市でスタートした千葉ロッテのキャンプでも、ルーキーたちが続々とブルペン入り。ドラフト2位の酒居投手、ドラフト5位の有吉投手、そしてドラフト1位の佐々木投手が、並んで投げ込みを行った。

 即戦力投手として大きな期待がかけられる佐々木は、プロ初のキャンプのブルペンでも落ち着いた様子を見せ、2017年の開幕ローテーション入りに向けて、コンディションが順調に整いつつあることをアピールした。

「第4回ワールド・ベースボール・クラシック」に出場予定の石川投手は、チームの誰よりも早くブルペン入り。この日は軽めの投球だったが、マウンドの感覚を入念に確認しながらじっくりと投げ込んだ。OBの薮田安彦氏とのインタビューでは、2017年シーズンの目標として、最優秀防御率・最多勝タイトルの獲得を挙げた。

「ロッテの黒木氏に負けない、オリックスの黒木を築き上げる」

【オリックス】

 宮崎県宮崎市で行われたオリックスのキャンプにおいては、ドラフト2位の黒木投手がブルペン入りし、ゆったりとしたフォームから力強いボールを投げ込んだ。

 また黒木は、元千葉ロッテの「魂のエース」であり、同じ苗字である黒木知宏氏(現・北海道日本ハム一軍投手コーチ)が、現役時代に背負っていた番号と同じ「54」も、あらためて披露。プロ入りの際に自ら口にしていた「千葉ロッテの黒木氏に負けない、オリックスの黒木を築き上げる」ための、ささやかだが確実な第一歩を踏み出した。

【福岡ソフトバンク】

 福岡ソフトバンクのキャンプでは、ベテランの松坂投手が初日からブルペンに入り、良好な仕上がりをアピールした。松坂投手のすぐ後ろでは、工藤監督と元西武ライオンズの東尾修氏が談笑し、西武の新旧の大エースが顔を揃える、贅沢なシーンも見られた。

 松坂の球を受けていた高谷選手が、返球の際にコントロールを誤り、工藤監督と東尾氏の頭上に暴投してしまうような珍場面も。松坂投手の表情にもリラックスした様子が窺え、福岡ソフトバンクのキャンプは、終始和やかなムードで進行した。

 以上、パ・リーグ5球団のキャンプ初日の模様を振り返ってみた。キャンプの期間は1か月足らずと長くないが、普段あまり公式戦が行われない場所で開催されているせいか、あるいは、ルーキーを含めた新体制チームが構築されている途中だからか、ほかのイベントにはない独特の雰囲気があるものだ。キャンプの見どころや参加している選手の姿を追っていくことで、福岡ソフトバンクのキャンプ初日の中継のように、この期間だけの貴重な場面を目にすることができるかもしれない。

 2017年シーズンの開幕まで、あと2か月あまり。シーズン中ともオフシーズンとも異なるこの期間を楽しみながら、長く熱いペナントレースのはじまりを待ちたい。

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

「パ・リーグ インサイト」編集部●文

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