ニューコア・フェリオラCEO「10年で5000万トンの需要」 トランプ政権の1兆ドルインフラ投資で創出される

米国最大手の電炉メーカー、ニューコアのジョン・フェリオラCEOは31日に開示した通期決算の会見で、トランプ大統領が表明している今後10年間での1兆ドル(約110兆円)インフラ投資で、約5千万トンの鋼材需要が創出されるとの見方を示した。

ニューコア・ジョン・フェリオCEO

米国の鉄鋼需要は1億トン規模で、フェリオラCEOはこの5%ほどにあたる年平均500万トンの増加につながる可能性があると指摘。「鋼材需要に大きなインパクトがある」と期待感を示した。

米国は、オバマ政権の時から薄板や厚板、異形棒鋼など多様な鋼材に対しアンチダンピング(反不当廉売=AD)や相殺関税(CVD)といった通商措置を課している。トランプ政権下でも輸入鋼材には厳しい姿勢がとられそうで、米国製の使用を求めるバイ・アメリカンの機運もあり、トランプ政権がインフラ向けの大型投資を実行すれば、米国地場の鉄鋼メーカーが恩恵に浴するのは確実と見られる。

上工程能力が足りず米ミルが買い付けている半製品・スラブの国際需給が引き締まるなど、間接的には他市場への効能も見込まれそうだ。

会見では、トランプ政権の発足で先行きが見通しにくくなっているメキシコも話題に。ニューコアはJFEスチールとメキシコに車用の溶融亜鉛めっき鋼板合弁事業「ニューコア―JFEスチール・メキシコ」を19年にも稼働させる予定で、すでに設備はドイツの製鉄プラント会社、SMSへ発注。今年上期に着工する方向で進んでいる。ニューコア側はこうした予定を挙げた上で「ワシントン(政権)の動きを注視していく」としている。

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