JFEエンジ、磐田市(静岡県)で熱電供給事業 共同出資会社設立、国内初の官民連携

JFEエンジニアリング(社長・狩野久宣氏)は2日、静岡県磐田市(市長・渡部修氏)と熱電供給事業の共同出資会社設立に関する覚書を東京・丸の内の東京本社で締結した。ガスエンジン発電所により電気・熱・二酸化炭素を安価に供給する「トリジェネレーション」事業で、官民連携の熱電供給事業は国内初。

覚書を締結した吉田副社長㊧と渡部磐田市長

今年4月1日付で電力の発電・小売・熱供給事業を行う特定目的会社「スマートエナジー磐田」を磐田市内に設立。18年下期にガスエンジン発電所を商工業団地「磐田ららシティ」内に建設。発電規模は4~5千キロワット程度を想定する。

同社の電力小売子会社、アーバンエナジーで電力を需給調整し、団地内18企業へ供給するほか、施設園芸団地「スマートアグリカルチャー磐田」へは電気・熱・CO2を供給する。将来的には、公共施設や企業などを中心に磐田市全域の電気・熱エネルギーをカバーしていくほか、5年後には数十の自治体へ事業を拡大していく方針。

資本金は1億円でJFEエンジが94%、磐田市が5%、磐田信用金庫が1%を出資。発電所の建設費用は12億~13億円と見込んでおり、JFEエンジが主に資金手当するほか、自治体との連携により交付される経産省の補助金も活用していく構え。

売り上げ目標は発電所が本格稼働する2019年に10億円、BTOBなどへの展開などで2020年には20億円を見込む。

覚書締結に臨んだ吉田佳司副社長は「日本のエネルギー事情は大きな転換期を迎え、電力・ガス自由化の流れの中で地産地消の動きが出てきている。今回の事業はその先鞭をつけるもので地域創生の一つのかたち。今回を一つのモデルとしてニーズのある他の自治体へ展開したい。磐田市民になったつもりで社を挙げて取り組む」と述べた。

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