《ブラジル》政界汚職ラヴァ・ジャット裁判=元労働者党選挙参謀とその妻に有罪判決=資金洗浄で禁固8年4カ月=「隠し口座は文化」の抗弁通じず

 パラナ州連邦地裁のセルジオ・モーロ判事は、ルーラ元大統領、ジウマ前大統領の選挙参謀を務めたジョアン・サンターナ被告に対し、資金洗浄の罪で8年4カ月の禁固刑の判決を下したと2、3日付現地紙・サイトが報じた。
 同被告の妻、モニカ・モウラ被告にも同じ罪状で同じ量刑が下された。両被告は控訴の意向だ。
 検察側はサンターナ、モウラ夫妻を贈収賄容疑でも告発していたが、モーロ判事はこれを取り下げた。
 両被告は裁判において、2010年の大統領選で、ジウマ陣営の選挙運動の裏金として、未申告の資金450万ドルを国外の隠し口座を通して受け取った事を認めた。
 この金は、サンターナ夫妻が所有するオフショアの「シェルビル・ファイナンス」の国外口座にシンガポールの造船会社ケッペルのロビイスト、ズウィ・スコルニッキ被告が振り込んだものだ。
 サンターナ被告は公判中、「隠し口座の使用は決して褒められた行為ではないと知っているが、選挙における文化のようなもので、どの候補の陣営にも広がっていた」と証言した。
 他にも、ズウィ・スコルニッキ被告が贈賄、資金洗浄、犯罪組織形成の罪で、労働者党(PT)元中央会計のジョアン・バカリ・ネット被告が収賄罪で有罪判決を受けた。また、汚職捜査の報奨付供述(司法取引)に応じた、ペトロブラス(PB)社国際部元総務課長エドゥアルド・ムーザ被告と、PB社の石油採掘船やプラットホームの建設を担当していたセッテ・ブラジル社元社長ジョアン・カルロス・フェラス被告は共に、収賄と犯罪組織形成の罪で有罪となった。
 モーロ判事には、サンターナ、モウラ両被告による、「自分たちは『隠し口座』文化の被害者」との抗弁は説得力を持たなかった。
 モーロ判事は、名選挙参謀の名を欲しいままにしてきたサンターナ、モウラ夫妻が、不正と知りつつ、汚職に加担した罪を認め、「選挙期間中に違法性のある資金を隠し口座へ入金させ、無申告で受領することで、選挙にまつわる不正行為を実行した責任の一端を、選挙運動のマーケティングのプロが負うべき時が来た」と判決文に記した。
 サンターナ、モウラ夫妻は6カ月収監された後、昨年8月に釈放された。二人は共に、控訴審の行方を刑務所の中ではなく自由の身で待つこととなる。二人の弁護士は司法当局と、報奨付供述(司法取引による減刑)の交渉を行っている。

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