ホークスの若き捕手争い脱出へ最も近い男 元育成6位「夢に野球出てくる」

まさに「競争」の言葉がふさわしい。ソフトバンクのキャンプで繰り広げられている「捕手争い」。甲斐拓也(24)、山下斐紹(24)、張本優大(26)、栗原陵矢(20)。主力組のA組に抜擢された平均年齢23.5歳の若い4人が、B組で調整する高谷裕亮、鶴岡慎也への挑戦権、はたまた、正捕手の座を競い合っている。

ソフトバンク・甲斐拓也【写真:編集部】

平均23.5歳、4人が全練習同組で「競争」…練習漬け24歳「負けたくない」

 まさに「競争」の言葉がふさわしい。

 ソフトバンクのキャンプで繰り広げられている「捕手争い」。甲斐拓也(24)、山下斐紹(24)、張本優大(26)、栗原陵矢(20)。主力組のA組に抜擢された平均年齢23.5歳の若い4人が、B組で調整する高谷裕亮、鶴岡慎也への挑戦権、はたまた、正捕手の座を競い合っている。

 2017年の宮崎キャンプ。すべてのメニューを4人が同じ組で行なっている。ブルペンも、打撃も、守備も、すべてを4人で行う。まさに、競争心を煽るかのように、だ。

 その中から抜け出すのに最も近いのは、プロ7年目を迎える甲斐拓也だろうか。大分・楊志館高から10年の育成ドラフト6位からはい上がり、13年オフに支配下登録された強肩を武器とする24歳だ。

 A組スタート、しかも、若い捕手4人でのサバイバルレース。「ライバルなんで、負けたくない。強い気持ちでやっています。やることをやっておけば、目標は自分の中で持てているので、とにかくそれに向かっていけばいいと思っています。(目標は)1軍の試合に出続けること。それしか考えていません」という。

細川が移籍、高谷、鶴岡は35歳…ずっと課題とされる若い捕手の台頭

 日々の練習メニューが終わってからも、自らマシンに向かってキャッチングの練習に取り組み、宿舎に帰ってからも映像を見ながら、配球面の勉強に時間を費やしているという。寝ているときですら「夢に野球が出てくるんです」というほど、今は野球漬けの日々だ。

 昨季まで在籍した細川亨が退団し、楽天へ移籍。捕手の枠は1つ空いた。さらに高谷、鶴岡は35歳。チームとしても若い捕手の台頭はここ数年、ずっと課題とされてきた。

「足りないものは色々ある。まだまだなのはわかっています。まずは守備。キャッチング、スローイング、ワンバンキャッチ……。配球も必要。身につけないといけない」

 正捕手の座を奪うために。今季から登録名を名前からフルネームへと変えた「甲斐」が、自己研鑽の毎日を送っている。

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani

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