新日鉄住金の佐伯副社長、値上げ「理解得られつつある」 対原料価格で「依然マージン不足」

新日鉄住金・佐伯副社長

鉄鋼産業懇談会の佐伯康光会長(新日鉄住金副社長)は3日、懇談会終了後に、新日鉄住金の副社長としての立場とした上で「原料価格高騰に伴う製品価格への反映を懸命に進めている。値上げの理解は(お客様から)得られつつあるが、依然対原料価格でマージン不足の状況」と語った。「再生産可能な鋼材価格の実現は、足元から来期に向けての大きな課題」と述べた。

鉄産懇会長として鉄鋼需給については「12月末の国内在庫はトータルでは増えたものの、代表的な指標である薄板3品在庫は381万トンまで減少。適正レベルから、ややタイト感が出ている状況」と指摘。輸入鋼材は12月に44万トンと前の月より減ったが「水準は高い。数量以上に問題なのは入着価格で、依然安値が続いている。揚げ地によっては下がっているところもある」と懸念を示した。

佐伯・鉄産懇会長、春節明けの海外市況注視

佐伯康光・鉄産懇会長の主な発言要旨は次のとおり。

――マクロ経済動向について。

「世界経済そのものは、IMFによる成長率見通しが3・4%(前16年は3・1%)と緩やかな回復基調。トランプ米大統領の政策や選挙イヤーと言われる欧州の政治動向など、不確実性に十分注意を払う必要がある」

――鋼材需給は。

「鋼材需要は日米欧が回復する。アセアン・インドなど新興国はさらに伸長する」

佐伯・鉄産懇会長、「中国の内需は好調」

――その中で中国は。

「鋼材内需が好調。前16年も、年初は内需減少予測だったが、終わってみれば増加した。一方で鉄鋼生産も増えており高水準。需要と生産の変化に注視する必要がある」

――海外市況動向について。

「各国ミルの販売価格は対原料価格のスプレッドが十分とは言えないため、市況上昇傾向が継続している。春節明けの中国・東南アジア市況に注目する」

――国内需要は。

「国内経済は、マイナスが続いていた小売販売がプラスに転じて底を打つなど回復基調。生産・輸出関連の指標は総じて増加傾向だ。鋼材需要分野の指標は総じて前年比プラス基調で、国内鋼材需要は底堅い」

© 株式会社鉄鋼新聞社