日鉄住金建材の侵入抑止柵「ユカエル」、鉄道事業者向けで初採用

篠ノ井線で採用された侵入防止柵「ユカエル」

日鉄住金建材(社長・中川智章氏)は3日、侵入抑止柵「ユカエル」が鉄道事業者向けに初採用されたと発表した。シカ対策システム「ユクリッド」を構成する製品で、シカと列車の衝突を防ぐ。シカが侵入しにくく、仮に侵入しても容易に出ていけるという従来の獣害防止柵にはない機能を有する。同社では17年度3千メートルの販売を目指していく方針。

採用されたのは西日本旅客鉄道広島支社(芸備線)及び岡山支社(山陽本線)、東日本旅客鉄道長野支社(篠ノ井線)。受注額は公表していない。採用延長は西日本が計約350メートル、東日本が約100メートル。「ユクリッド」は農業や林業、鉄道におけるシカ被害を解決するシステムの総称で侵入抑止柵「ユカエル」と鉄分を含有した誘鹿材「ユクル」で構成される。

「ユカエル」は亀甲金網と引張強度1トン以上の樹脂ロープなどで構成され、侵入を抑止すると共に一度侵入したシカが脱出しやすいよう斜面に垂直に設置。そのため、斜面用の特殊なくいで固定する。鉄道路線では盛土区間に設置することで高い性能を発揮する。

今回採用した各社はシカ被害対策として「ユクル」を採用。相互のやり取りの中で信頼関係を深め「ユカエル」の採用に至った。他の事業者からも引き合いが寄せられるなど注目度は高い。シカ被害は深刻な社会問題となっており、同社では今後も社会のニーズに応えた製品の提供で安全・安心で快適な生活空間の創出の一翼を担っていく方針。

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