破棄した日報、一転「あった」 南スーダンPKOで防衛省

【時代の正体取材班=田崎 基】南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣されている陸上自衛隊施設隊が、首都ジュバで大規模な戦闘が起きた昨年7月7〜12日にまとめた日報を3カ月足らずで廃棄していた問題で、これらの日報が存在していたことが6日、分かった。防衛省統合幕僚監部が同日、明らかにした。  日報は、ジャーナリストの布施祐仁さんが2016年9月30日に情報公開請求したところ、防衛省が同12月2日付で「既に廃棄」と回答していた。神奈川新聞社の取材に対し、統合幕僚監部は「(廃棄を理由に不開示決定したが)その後再度、日報存否の範囲を広げて探索したところ、当初の探索範囲の外である統合幕僚監部(東京都新宿区)において日報が見つかった」と説明した。情報公開請求があれば応じる、としている。

 統合幕僚監部は当初、「報告を終えた時点で使用目的を達することになり、報告の終了をもって廃棄とした」と説明していた。

 これを問題視した自民党行政改革推進本部長の河野太郎衆院議員(15区)が防衛省に文書管理の改善と、日報を再度探すよう求めていた。統合幕僚監部は河野議員に対し「電子データとして日報が残っていた」と説明。廃棄した、としていた日報全てが「残っている」と答えたという。

 南スーダンでは16年7月7〜12日かけて政府軍や反政府組織による大規模な戦闘があり270人以上が死亡、非政府組織(NGO)の施設が襲われ女性職員がレイプされたり、略奪されたりした。日報にはこのときの自衛隊の対応についても記載があるという。

 ■布施祐仁さんの話 今回はたまたま見つかったが、問題の本質は「報告を終えた時点で使用目的を達し、即廃棄」と日報を取り扱っていることにある。海外派遣されている自衛隊の日報は歴史的価値のある公文書だ。

 昨年7月のジュバでの戦闘についても記載があるはず。政府は当時既にこの戦闘状況を日報ですぐに把握していたにもかかわらず全く発表しなかった。国会でも日報内容について何ら検証されないまま、南スーダンへの自衛隊PKOは派遣延長が決定され、安全保障関連法による武器使用の新任務まで付与された。こんなことでは国民の理解は得られない。

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