「史上初」だらけ! 侍ジャパン「史上最高」のWBC壮行試合がスゴイ!?

3月に行われる第4回WBCで2大会ぶりの世界一奪回を目指す侍ジャパン。出場メンバー28人が決まり、盛り上がりを見せているが、2月28日、3月1日に行われる壮行試合・台湾プロ選抜戦(ヤフオクドーム)がものスゴイとファンの間で話題となっている。「史上最高の壮行試合」と銘打たれた2試合は、史上初のイベントがめじろ押し。果たして、どんな催しで侍たちを後押しするのか。今回の企画の経緯や見所を、NPBエンタープライズの加藤謙次郎広報に聞いた。

侍ジャパンを率いる小久保裕紀監督【写真:Getty Images】

キーワードは「日本代表」「コラボ」…NPBエンタ広報が語る企画のワケ

 3月に行われる第4回WBCで2大会ぶりの世界一奪回を目指す侍ジャパン。出場メンバー28人が決まり、盛り上がりを見せているが、2月28日、3月1日に行われる壮行試合・台湾プロ選抜戦(ヤフオクドーム)がものスゴイとファンの間で話題となっている。「史上最高の壮行試合」と銘打たれた2試合は、史上初のイベントがめじろ押し。果たして、どんな催しで侍たちを後押しするのか。今回の企画の経緯や見所を、NPBエンタープライズの加藤謙次郎広報に聞いた。

 イベントからグッズ、チケットまで、とにかく「初」だらけ。本大会を前に一体、なぜここまで力を入れているのか。

「お客さんが集まって日本中のファンが応援しているという画が侍ジャパンが優勝するためには大事になる。ファンの皆さんに試合以外でも楽しんでもらうために何があったらいいか。それを考えた結果、日本代表でしかできない新しい企画にチャレンジしていこうということです」

 史上初の企画をまずは2つ紹介する。キーワードは、加藤広報の言葉にもあった「日本代表」だ。

○つば九郎が大暴れ!? 各球団マスコット&チアが大集結、“日台応援対決”も

 シーズン中は各球場でファンを盛り上げているマスコット。スケッチブックに痛快なネタを書き込むことでおなじみのヤクルト・つば九郎、俊敏な連続バック転で驚異の身体能力を誇る中日・ドアラなど、全12球団の個性的なマスコットに加えて侍ジャパンの応援侍たまべヱが日本代表のユニホームを着て一同に会する。さらに、広島を除く11球団12人のダンスチアが「チアリーダー日本代表」を結成し、特別ステージを披露。さらに、台湾プロ野球から選抜された「CPBLガールズ」も駆けつけ、一、三塁側特設ステージに分かれて“日台応援対決”の雰囲気が楽しめる。

○売り子通にはたまらない…“売り子日本代表”からビールが買える

 野球観戦に欠かせないビールと風物詩の売り子たち。12球団の本拠地スタンドを彩る人気の売り子から選抜された“売り子日本代表”が特別ユニホームを着て、ビールを販売する。15~20人が出場予定で、1日に590杯を売り上げた経験を持つロッテの売り子アイドル「カンパイガールズ」のリーダー・今井さやかも参戦。「売り子代表として、誰にも負けない最高のおもてなしをしたいです!」と意気込む。売り子通の野球ファンにとってはたまらない機会となり、ビールもついつい進んでしまいそうだ。

 加藤広報は「マスコットもチアも売り子も、すべて球場では重要なキャラクター。選手も日本代表で集まっているので、こちらも日本代表を結成してみたら盛り上がるのではないかと思いました」とユニークな企画の意図を説明する。

限定コラボ「侍×○○」…カープ坊やが侍坊やに!?

 もちろん、初の企画はイベントだけではなく、観戦チケットにもある。もう一つのキーワードは「コラボ」だ。

○侍×12球団…「カープ坊や」が「侍坊や」に

「12球団応援チケット」として、各球団と侍ジャパンがコラボしたオリジナルグッズ付きのチケットを販売。広島の「カープ坊や」が「侍坊や」となったカンフーバット&タオルマフラーセット、ヤクルトが得点した際に神宮のスタンドに開く「応援ミニ傘」は侍ジャパンステッカー付き、ハマスタの客席で掲げる「I☆YOKOHAMA」タオルマフラーが「I☆SAMURAI」に……。いずれもこのチケットでしか手に入らない限定グッズで、好きな球団を選ぶことができる。カラーとデザインは各球団のものをベースにしているため、シーズン中にも使えるお宝グッズとなる。

○侍×人気マンガ&アニメ…鷹の爪と「世界征服」?

 人気マンガ&アニメ3作品ともコラボが実現した。週刊少年ジャンプで連載中の「僕のヒーローアカデミア」、人気アニメ「秘密結社 鷹の爪」、往年の人気マンガ「キン肉マン」とタイアップ。手ぬぐいやトートバッグなど、侍とコラボしたオリジナルグッズが付いた。例えば、鷹の爪なら「世界征服」が「世界制覇」を目指す侍ジャパンと合致しているなど、それぞれのコンセプトが重なることから実現した。少年層から中高年層までお得感を感じられるコラボになっている。

「12球団応援チケット」について、加藤広報は「去年の強化試合を見ても、特徴的なのは球団のユニホームを着て応援しているファンが多いということ。それならば、普段応援しているスタイルに応援グッズとして侍のエッセンスを加えたらどうか」と企画。マンガ&アニメとのコラボについても「球団によっては応援しているチームの選手がメンバーに少ないと思うこともあるかもしれないけど、それでも年齢や性別を問わず、全方位を楽しませるべき」との考えから発案に至ったという。

 ほかにも、ヤフオクドームが本拠地のソフトバンクの応援を生かしたジェット風船を侍ジャパンでも実施。ここまで様々な企画にこだわるのは、侍ジャパンを盛り上げる狙いはもちろん、NPBエンタープライズにとって初のWBCという意気込みもある。

設立4年目で迎える初のWBC「新しい価値観を提供できたら」

 NPBエンタープライズはNPBと12球団の出資を受ける形で2014年11月に設立。侍ジャパン事業の活性化を目指し、女子からU-12、社会人など全世代のバックアップを目的として設立。読売、西武など、各球団から集まったメンバーを中心に8人で運営されており、加藤広報自身も設立前はヤクルトで球団広報を務めていた。

「実際に各球団でノウハウと経験を持った人間が集まってアイデアを出し合っている。プロ野球の興行は独特の進化をしてきた中で、WBCを機に新しい価値観を提供できたらと思います」

 昨年8月には高校日本代表の壮行試合・大学日本代表戦で、全国コンクール金賞の習志野高校吹奏楽部と歴史ある東京六大学応援団連盟の応援合戦という初の企画を行い、大成功に終わった。そして、4年目を迎えた今年、トップチームである侍ジャパンが初めてWBCを戦うのだから、力が入るのも当然だ。年明けに「史上最高」のフレーズを決定した。

「新しいモノを創っていくのは、新しい会社の使命でもある。今回は、普通にやっていたら集客が厳しい強化試合や壮行試合というものにどのような可能性があるか、について追求しています。チャレンジを何度か重ねていきながら、将来は12球団を応援していただいている方、野球を普段見ない人にとっても楽しめる場所にしたい。いろんな人たちにとっての『侍ジャパン』にすべきと考えているので、今度の壮行試合から、それを感じていただけたらうれしいです」

 世界一を目指して戦っている侍の後ろには、それを懸命に支え、後押ししようと戦っている人たちもいる。そんな情熱によって生まれる「史上最高の壮行試合」から、侍ジャパンは世界一奪回への第一歩を踏み出す。

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