デスパイネ加入で競争激化へ 大型補強でどうなるソフトバンクの陣容

ソフトバンクは11日、前ロッテのアルフレド・デスパイネ外野手の入団を発表した。キューバ出身の30歳強打者は球団を通じて「自分にとっては今年からまた新たなスタートという気持ちで、これまでの自分の経験を活かして、チームの日本一奪還に貢献できるよう、一生懸命頑張ります」とコメントし、新天地でのプレーに意欲を燃やした。

ソフトバンクのアルフレド・デスパイネ【写真提供・福岡ソフトバンクホークス】

デスパイネの獲得を正式発表したホークス

 ソフトバンクは11日、前ロッテのアルフレド・デスパイネ外野手の入団を発表した。キューバ出身の30歳強打者は球団を通じて「自分にとっては今年からまた新たなスタートという気持ちで、これまでの自分の経験を活かして、チームの日本一奪還に貢献できるよう、一生懸命頑張ります」とコメントし、新天地でのプレーに意欲を燃やした。

 2014年途中から3シーズン所属したロッテもキューバ政府と残留交渉を行っていたが、昨年中に交渉の継続を断念すると発表。ロッテ残留が消滅したことで、デスパイネの入団先の最有力候補としてホークスが浮上していた。

 昨季、長打力不足が日本一逸の一因となったソフトバンクは早くから一発のある助っ人外国人をオフの補強ポイントに設定。前ダイヤモンドバックスで米マイナー通算178発のカイル・ジェンセン内野手を獲得し、このほどデスパイネの加入も正式に決まった。キューバチームの一員としてカリビアンシリーズに参戦しているデスパイネに関してはチームの合流はまだ先となるが、今季のソフトバンクの陣容がどうなるか、ここで予想してみたい。

 守備で見れば、デスパイネは間違いなく指名打者としての起用となるだろう。内野は、一塁に内川聖一が入り、三塁の松田宣浩、遊撃の今宮健太は当確。二塁は本多雄一を最有力に、明石健志や川島慶三、牧原大成などが候補に挙がる。外野は中堅の柳田悠岐、左翼か右翼のどちらかに中村晃が入ることは確実。あと一枠にデスパイネ加入の影響が出てくる。

注目される長谷川の起用法、キャンプから若手も猛アピール

 昨季、指名打者での起用が中心だった長谷川勇也がどうなるか、だ。14年オフに手術を受けた右足首の状態が思わしくなく、2016年はなかなか守備に就くことが出来なかった。今季、状態が上がれば、外野の一角に入ってくることになるだろう。ただ、そうなると、悩ましいのは若手起用の機会が減少してしまう。

 ソフトバンクには福田秀平、上林誠知、そして売り出し中の真砂勇介といったイキのいい外野手も控えている。宮崎で行われている春季キャンプでは上林が鋭い打球を飛ばすなど、競争は激化する一方だ。もちろん若手はポジションを奪うだけの力と結果を残す必要があるが、デスパイネ加入によって、レギュラー獲りへのハードルはより一層高くなるだろう。

 打線で見れば、デスパイネは4番ないし、5番に入ることが予想される。ソフトバンクは工藤公康監督が就任した15年から一貫して、4番には内川聖一が入ってきた。昨季は打率3割4厘をマークし、100打点も超えた。4番としての役割をきっちりと果たしたと言える。一方で本塁打は18本と決して長距離砲でないことも事実。内川を4番に据えたままとするならば、3番柳田悠岐、4番内川、5番デスパイネ、6番松田宣浩の並びが最も現実的か。

不可欠な助っ人3投手、外国人枠争いも熾烈、破壊力満点の打線へ

 4番にデスパイネを置くならば、内川は3番か5番だろう。仮に3番ならば、1番に柳田を配置する選択肢もある。1番柳田、3番内川、4番デスパイネ、5番松田。この並びも、また強烈である。

 ソフトバンクにはサファテ、バンデンハーク、スアレスと3人の外国人投手がおり、その全員が不可欠な存在。そのため、1軍に置ける外国人野手は1人だけで、ジェンセンは基本的にはファーム暮らしとなる可能性もある。投手1人が2軍にいるなどで、ジェンセンの起用が可能となれば、一塁(その場合は内川が左翼か)か外野。5、6番に入ることになるだろうか。ジェンセンもマイナー通算178発を放っている実力者。例えば、3番柳田、4番デスパイネ、5番内川、6番ジェンセン、7番松田……。破壊力満点の打線が出来上がる。

 デスパイネは現在カリビアンシリーズに出場中で、その後は3月開幕のWBCキューバ代表にも招集されている。合流時期とコンディション次第ではジェンセンが存在感を発揮する可能性も十分にある。いずれにせよ、デスパイネ獲得という大型補強を成功させたソフトバンクは今季もVレースの大本命となるだろう。

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani

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