旧正月明けの海外ホット市況、原料炭安も下げ小幅 520~530ドル程度に、輸出全般に抑制

海外の熱延コイル市場は、中国などの旧正月(春節)休みが明けた先週も大きな動きはなく、静かに幕を開けた。原料炭のスポット価格が下落したことでホットの海外顧客による指値(ビッド)も概ね下がっているが、積極的に市場へ売り込む動きを見せているのはインド勢に限られ、原料動向が市況に直接は反映されていない。トン当たりCFR500ドル台前半のレンジ内で、小幅な値下がりにとどまっている。

ホットの輸出価格はミルや向け先によって値差が開いており、日本の高炉大手による遠隔地向け商談では500ドル台後半に達しているケースもある。ただ一般的な市況トレンドでは、春節前の540~50ドル程度から春節明けは520~30ドル程度に。原料動向が反映されやすい半製品・スラブは440~50ドルから410~20ドルへと軟化している。

一方で需給自体に緩和感はなく、中国勢が依然として輸出には消極的で、日本勢も新日鉄住金やJFEスチールなどに輸出余力がなく強気の姿勢を変えていない。高額紙幣の廃止で決済が滞り内需に影響が出ているインドの高炉大手がベトナムなどへホットを売り込む動きはあるものの「モディ政権は農村振興の経済政策も打ち出しており、今後は印内需が盛り返す」(商社幹部)と見られている。

一時の騰勢はなくなったが、なお底堅い市況動向から近海向けの3月積みホット商談で日本高炉は値上げ継続を掲げている。原料炭コストの上昇転嫁が途上の中で、マージン改善へ正念場を迎えている。

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