JAPICの「重点推進プロジェクト」、第2青函トンネルなど全国18件

JAPIC国土・未来プロジェクト研究会が13日に公表した全国18件の「重点推進プロジェクト」の概要は以下の通り。

北海道

(1)「北海道の食料・エネルギー基地化に向けた青函マルチトンネル構想」

▽津軽海峡に今の50キロメートルの青函トンネルより短い30キロの青函新トンネルを設け、新幹線の最高速度や貨物輸送力の引き上げを図る。

東北

(2)「福島の復興と創生~世界最先端研究・産業コリドーの形成~」

▽放射性廃棄物やロボット、先端リサイクルなど先端研究の拠点を整備する。2021年で廃止予定となっている復興庁の後継に「福島イノベーションコースト整備庁(仮称)」を設ける。

関東

(3)「東京湾の高度な活用と環境配慮を目指したハードとソフトの再編」

▽羽田空港を沖合に再拡張し5本目の滑走路を整備するほか、羽田やLCCと連携した富津沖新空港、大型船に対応した京浜港新本牧ふ頭などを設ける。一元管理に向けた「東京湾庁(仮称)」で国がリーダーシップを発揮する。

(4)「新宿大改造による第二セントラルステーションの形成と周辺環境整備」

▽新宿駅を東京駅に次ぐ「第二中央駅」としてシンボル性を高めるとともに、鉄道を地下化し地上での東西歩行軸を形成する。

(5)「下町の歴史文化・芸術資産を活用したまちづくり~上野浅草地区へのBRT・LRT導入~」

▽上野駅や上野公園を再整備し、個性的で風格ある空間へと再生。浅草地区には都電をBRT・LRTで復活させ回遊性を促進させる。

(6)「東京東部低地における魅力あふれる都市空間の創出~高規格堤防整備と木造密集地域解消」

▽荒川下流部に連続的な高規格堤防を設け、同時に市街地を再整備する。

北陸

(7)「新日本海時代における金沢港・新潟港を核とした地域創生と、新幹線による地域連携の強化」

▽金沢港をクルーズ船など観光拠点、新潟港をエネルギー基地として整備し、中国やロシアのゲートウェイとして強化する。2030年までの北陸新幹線大阪延伸が予定される中で、北陸4県と関西までを含めた「日本海新幹線」による広域交流を生かす。

中部

(8)「名古屋新都心の創出~中川運河の水辺空間整備~」

▽名古屋の中心にある中川運河は、かつて物流の拠点だったが昭和40年をピークに減っている。名古屋市が管理しているエリアであり、名古屋新都心として再開発する。

(9)「静岡県駿河湾周辺地区 観光・交流振興プロジェクト」

▽愛鷹山富士山眺望観光施設や、静岡鉄道を1・4キロメートル延伸した清水港との鉄道アクセス設備といった効果的なインフラ投資で観光を促進する。

関西

(10)「京都市中心部での自動車流入規制のための大型駐車場整備と連動する各種支援策」

▽すでに渋滞が深刻化している京都市内のネットワークを再構築し、景観を害さないよう民間主導で地下などに駐車場を整備し運営。高齢者や外国人観光客に優しい町とする。

(11)「三宮駅前を中心とした神戸中心部再整備構想のさらなる展開」

▽阪神神戸線の地下化、市営地下鉄との相互乗り入れ、ポートライナーの延伸による神戸空港と新神戸駅の接続、国道2号線の南北部をフラワーロードへ移設することによる神戸市街地と港の接続性向上などで港町神戸の魅力を高める。

瀬戸内

(12)「世界に誇れる『瀬戸内海の再発見』と回遊型観光振興・ステップ1・瀬戸内クルーズネットワーク基盤整備」

▽瀬戸内クルーズネットワークとして、半日から1日の観光圏を単位とした港湾拠点を複数設ける。関西国際空港や神戸空港、北九州空港といった海上空港から直接アクセスできる係船設備を整備する。

(13)「世界に誇れる『瀬戸内海の再発見』と回遊型観光振興・ステップ2・瀬戸内地域循環交通ネットワークによる移動の多様化・円滑化」

▽四国新幹線やクルーズネットワーク基盤、下関北九州道などを整備し、空港や高速鉄道などの乗り継ぎを改善。循環交通の実現で年1千万人のインバウンドを図る。

四国

(14)「単線方式を活用した『四国の新幹線』早期整備~四国の地域創生と瀬戸内の観光振興のために~」

▽四国の県庁所在地は新大阪から新幹線で結べば2時間ほどの至便な距離にある。しかし費用がかかるため岡山~宇津田までを複線とし、以降は高性能な信号技術を活用した単線方式で四国各県を結ぶ新幹線の早期整備を図る。

(15)「四国・国際総合スポーツ都市構想」

▽四国の真ん中にスポーツの育成やリハビリを狙いとした拠点を設ける。初期の段階ではプロ野球チームを誘致し、収入を確保しながら整備を進めていく。

九州

(16)「下関北九州道路の整備による本州と九州間交通のリダンダンシー確保」

▽関門トンネルは建設から60年が経ち、補修で年間73日の通行止めが生じている。下関北九州道路を整備し、下関と小倉の所要時間を今の50分から半減、経済効果2千億円以上の創出を図る。

(17)「福岡空港の段階的整備から新福岡空港整備と周辺地域のリノベーション」

▽福岡空港は北九州空港や佐賀空港との連携を進めているが、インバウンド需要の増大で能力は不足すると見込まれる。新福岡空港を新たに整備し、現空港で生じている年180億円の借地料や環境対策費、空港跡地の売却をその財源とする。

沖縄

(18)「沖縄南北縦貫鉄軌道の整備による沖縄振興」

▽都心部で生じている渋滞対策などを見据えた交通ネットワークを整備する。モノレールの延伸やBRTの導入を図りながら、那覇と名護を結ぶ70キロメートルに7千億円で高速鉄道を整備する。

© 株式会社鉄鋼新聞社