マンガン鉱石、スポット価格続落 中国で在庫積み上がり、調整局面後底入れも

マンガン鉱石の国際価格の指標となる中国向けスポット価格が続落した。昨年末につけた直近の高値に比べ40%程度下落した。中国の港頭在庫が旧正月(春節)をはさんで積み上がったため、トレーダーの購入意欲が低下。南アフリカなどのサプライヤーが唱えを引き下げた。ただ、南アをはじめ主要生産国では生産回復の動きが鈍い。鉄鋼向け需要も堅調に推移しているため、調整局面を経て底入れに向かうとの見方が大勢だ。

3月積みの中国向けスポット価格は5・5ドル(マンガン純分価格、中国着価格)程度になったもよう。2カ月連続の下げで、2月積みに比べ30%程度下がった。ただ、価格急騰前の8月積み(2・9ドル前後)に比べると依然として2倍の水準を維持している。

マンガン鉱石は昨年夏以降、需給ひっ迫によって価格が高騰した。サプライヤーの操業停止や減産による供給制約に加え、最大の需要国である中国で港在庫が減少したことなどがトレーダーの狼狽買いを誘い、昨年末には9ドル強まで上昇した。

この間にトレーダーなどが思惑買いに走ったことで、港頭在庫が徐々に積み上がったとみられる。関係者によると在庫量は現在、200万トン台前半で推移。最も少なかった時期に比べ100万トン近く増えたもようだ。

ただ、先行きは底入れするとの見方が多い。南アでは輸送インフラネックが顕在化しており、サプライヤーが減産を解除しても輸出量が回復する見込みは薄いからだ。また鉄鋼向け需要は、中国のほか日本や欧米でも堅調。中国の港頭在庫についても、積み上がってきたとはいえ「在庫量は2カ月を切るレベル」(市場関係者)にとどまっている。需給が極端に緩和する局面は想定しにくく、先行きは5ドル前後が下値抵抗線になるとの見方が有力だ。

© 株式会社鉄鋼新聞社