JFEスチールと丸紅、ベトナム国営石炭会社と長契 無煙原料炭を安定調達

JFEスチールと丸紅は16日までに、ベトナムの国営石炭会社ビナコミン社と、製鉄用原料炭(無煙炭)の長期売買契約を締結した。ベトナムはアジア地域における原料炭の有力ソースの一つだが、同国政府が2015年5月以降、高品質原料炭の事実上の輸出制限策をとっていたこともあり、同国からの輸入はわずかにとどまっていた。同国政府が今年、この制限を一部解除したこともあり、JFEなどは無煙炭の長期安定調達確保につながると判断、改めて売買契約を締結した。

長期契約は製鉄用の高品位無煙炭が対象で、期間は17年度から4年間。無煙炭は焼結機用燃料のほか、高炉吹き込み(PCI)用炭としても使われる。JFEの契約数量は明らかになっていないが、年間数十万トンとみられる。丸紅は貿易に関する付帯業務などを受け持つ。

原料炭貿易をめぐっては昨年来、長期契約に基づかない投機的な短期売買が台頭してきたため、実需を反映しない価格変動が起きやすくなっている。JFEは、原料炭価格の乱高下は結果として鉄鋼のユーザー業界にも影響を与えかねないとみており、長期売買契約に基づく鉄鋼原料の確保を重視したい考え。この一環としてベトナム国営石炭会社と長期契約を結んだ。

ベトナム政府が15年に無煙炭の輸出制限策をとったのは、同国の石炭需要拡大に対応した措置で、国内向けの石炭供給を優先する狙いがあった。一方で日本との貿易に関しては、両国間の経済連携協定(EPA)が輸出制限を禁じている。このため日本の経済産業省は同国政府との経済関連対話などでこの問題を議題にのせ、ベトナム政府に対し改善を要請していた。

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