【大阪製鉄のインドネシア合弁、形鋼・棒鋼工場が始動】内田純司社長「今年生産、20万トン目標」 異形棒に続き月内には山形鋼も

大阪製鉄の初の海外事業となるインドネシア合弁の形鋼・棒鋼工場、クラカタウ・オオサカ・スチール社(KOS社)が、1月25日から営業生産を開始した。同31日には製品を初出荷。異形棒鋼に続き2月からは山形鋼の生産に着手して、今年20万トンの生産を目指す。KOS社の動向について、内田純司社長に聞いた。(小林 利雄)

大阪製鉄・内田社長

――インドネシア合弁の足元の生産・出荷状況は。

「異形棒鋼の生産を開始して出荷も順調だ。現在ベースサイズの国家認証に続き、細径や太径サイズも順次認証を取得中だ。出荷は首都のジャカルタなどジャワ島が多いが、今後はスマトラ島やボルネオ島などにも範囲を広げていく」

――山形鋼と平鋼も生産していく。

「山形鋼は2月から生産に着手する。2月半ばに規格認証を取得し、さらに鉄塔メーカー各社の監査・認証を取得して納入を本格化させていく。同国の電力整備計画の進展に伴い送電用鉄塔建設が拡大しており、KOS社の山形鋼も一部の大形サイズを除きほとんどのサイズをカバーできる」

――同国の鉄塔メーカーは。

「少なくても、10社強あると聞いている。このうち、4~5社が有力メーカーだ。これらメーカーごとに認証を取っていく」

「平鋼は年内にテスト生産に入る予定で、当面は異形棒鋼と山形鋼の生産・出荷を進めていく」

――不等辺山形鋼の生産計画は。

「インドネシア政府では、国家計画で各島間の経済格差をなくしていくために造船・海運の振興を掲げており、関係者から『不等辺山形鋼の生産も頼む』と言われている。今後の検討課題だ」

――2017年の生産計画は。

「足元では試圧とプロパーを並行しており、商業生産は月5千トン程度だが、4~6月には同1万トン強、夏場以降は月2万トンに引き上げ、年間20万トンの生産を計画している。現在は1シフト(8時~17時)だが、6月ごろには2シフトに引き上げたい」

――母材のビレット調達は。

「日本(堺工場等)をベースにしながら、東南アジアなど周辺国から安定的に購入できるソースを広げていく。タイなど周辺国の電炉メーカーも高品質の半製品や製品を造るところが増えている」

――操業開始が1カ月ほど遅れたが。

「建設や機械据え付けなどで計画より遅れたが、高橋政宏社長以下スタッフのがんばりと、特に堺、大阪恩加島、西日本熊本の各工場から派遣した9人の熟練技術者が、過去の経験も踏まえながら生産立ち上げに努力してくれて、遅れを1カ月にとどめてくれた。実に頼もしい限りだ。年齢は40歳半ばから60歳台で、9人のこれまでの実績から社内では『ドリームチーム』と言われるほどの熟練者がそろった。熊本工場の技術者は同工場の前身・熊本共英工業の操業立ち上げを経験している者や、堺、大阪恩加島工場からも立ち上げ経験者が来ていて、設備据え付けや試運転での入念なチェック、圧延ロールの手配・管理など立ち上げに向けて必要な多くのノウハウ・知見を駆使してくれた」

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