JSTと理研、放射性廃棄物の資源化に挑戦 107Pdの核破砕反応データ取得

科学技術振興機構(JST)はこのほど、理化学研究所と共同で、長寿命放射性核種のパラジウム―107(107Pd)を不安定核ビームとして取り出し、核破砕反応のデータ取得に成功したと発表した。内閣府の革新的研究開発プログラム(ImPACT)の研究開発プログラムの一環として行ったもので、高レベル放射性廃棄物の低減・資源化につながる技術として期待されている。

同研究グループは、107Pdの核変換反応として、放射性核種と陽子または重陽子を衝突させて放射性核種を壊す反応(核破砕反応)に着目し、理化学研究所の重イオン加速器施設「RIBF」を用いて107Pdの核破砕反応の確率の測定や反応で生じる生成物の組成データを明らかにすることを世界に先駆けて成功した。

パラジウムは自動車触媒などに利用されている有用元素で、核燃料の燃焼度が33ギガワットデイの場合、使用済み燃料1トン当たりに約1キロ含まれており、そのうち約15%を107Pdが占める。この107Pdを取り出すことによって残りのPd同位体を資源として活用することができる。一方で取り出された107Pdは放射能を低減するために核変換させる必要がある。

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