「めっちゃ使えます」 ソフトB武田がWBC球で甦えらせた144キロの“新球”

大きな収穫だった。キャンプ第4クール3日目の17日に行われた紅白戦。3回2安打1失点で今季初の実戦登板を終えたソフトバンクの武田翔太投手は、確信に満ちた表情で言った。

ソフトバンク・武田翔太【写真:荒川祐史】

WBC用に加えたツーシームを紅白戦で披露「あ、これ使えるな」

 大きな収穫だった。キャンプ第4クール3日目の17日に行われた紅白戦。3回2安打1失点で今季初の実戦登板を終えたソフトバンクの武田翔太投手は、確信に満ちた表情で言った。

「めっちゃ使えます。豪の空振りを見て『あ、これ使えるな』と思いました」

 こう振り返ったのは、紅白戦の3回だ。先頭打者として迎えたのは釜元豪外野手。その初球。144キロのボールに、体勢を崩されるようにして、バットは空を切った。

 144キロ。この正体、実は真っすぐではない。WBC用に持ち球に加えたツーシームだった。右腕の場合、握りを変え、リリース時の手首の角度をやや外に傾ける。そのまま、ストレートと同様にリリースすれば、打者の手元で、シンカー気味に変化するという。

球数制限あるWBC、「遊びの延長」で重要な武器に?

 真っすぐとカーブ、スライダーが投球の主体である武田。シーズン中は、NPB球では「曲がりが小さい」ために、使用してこなかった。だが、変化球の変化が大きくなるといわれるWBC球。試しに投げてみると、持ち球に加えられるだけの変化が見えた。

 過去に、14年の日米野球でもツーシームを投げていたという。

「遊びの延長。ピッチングのスパイスになれば」

 基本的には、打たせて取るための球種。WBCには投手の球数制限もあるだけに、重要な武器となるはずだ。

 この日は釜元の打席で3球、“新球”を投じた右腕。「(状態は)70%くらいまで来ている」と調整も順調に進む。武田が新球を携え、世界一への戦いに挑む。

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani

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