こども食堂、南足柄に初 「地域のつながりの場に」

 子どもたちに100円で食事を振る舞う「こども食堂」が19日、南足柄市内では初めて、同市和田河原にオープンした。地場産の野菜をふんだんに使った自慢のメニューを子どもだけでなく、大人でも300円の格安で提供。子どもからお年寄りまでが気軽に立ち寄れる場所に育て、地域のつながりを取り戻したい考えだ。

 大雄山線和田河原駅から徒歩8分ほど。住宅街の一角でカレーの香りが漂う。NPO法人ワーカーズコープ小田原・足柄地域福祉事業所 報徳ワーカーズ(大井町西大井)を中心に開店した「きんたろう食堂」だ。

 元社員寮のマンション1階にある、今は使われなくなった社員食堂を活用。手作り感あふれる店内に30席ほどを用意した。正午を待たずに地域の子どもたちが、この日の献立の、甘口のひき肉カレーや里芋の唐揚げ、サニーレタスやカブのサラダをほお張った。

 報徳ワーカーズは、農業生産法人の報徳農場とNPO法人ワーカーズコープが昨年4月に設立。農業を通じた町おこしや就労支援などを手掛けている。

 「都市部ではない南足柄でも、地域のつながりは希薄になっている」。そう話すのは舩越謙所長(47)だ。地域で子どもを育てるための「子供会」も機能しなくなっていると聞き、「つながりがなくなれば、貧困など子どもを取り巻く問題もなおさら見えづらくなる」と懸念する。

 子どもだけではない。1人暮らしのお年寄りも今後、ますます増える。住民の居場所をつくることでネットワークをもう一度築くことができれば、地域に眠る課題も浮かび上がってくるはずだと考え、「それを次の支援につなげたい」と舩越所長。次回は春休み期間中の4月1日にオープンする予定だ。

 きんたろう食堂は高校生までが100円、大学生以上が300円。料理や配膳など食堂を手伝うボランティアも募集している。問い合わせは、報徳ワーカーズ電話0465(83)1188。

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