東京製鉄の3月鋼材販価、4カ月ぶり据え置き 「市況との連動、確実に」

東京製鉄は20日、3月契約の鋼材販売価格を全品種で前月比据え置くと発表した。据え置きは昨年11月契約以来4カ月ぶり。国内は条鋼、鋼板とも在庫が低水準。建設関連は大小さまざまな物件が安定的に動き、新年度に向けた需要に底堅さが見られる。鋼材市況も基調は強いままだが、これまでの3カ月連続値上げを踏まえ「メーカー値上げと市況との連動を確実なものとする」(今村清志常務営業本部長)とし、今回は値上げをいったん様子見とした。同社では引き続き需要見合いで需給調整に努める考え。

3月契約の主な品種の販価(ベースサイズ)は、H形鋼がトン7万8千円、ホットコイルが同6万2千円、溝形鋼が同7万8千円、厚板が同7万円、異形棒鋼が同5万6千円など。物件向けや在庫品の販売も20日午後から再開し、販価はH形鋼をトン7万8千円、厚板を同7万2千円、異形棒鋼を同5万6千円とした。

同社は昨年12月契約で全品種5千円の値上げを実施。その後、1月契約では全品種3千~5千円、2月契約では同1千~3千円と販価を引き上げてきた。合計の上げ幅は、H形鋼がトン1万3千円、ホットコイルが同1万2千円、厚板が同1万円、異形棒鋼が同9千円。同社では3カ月連続の値上げは「完遂した」(同)が、メーカー値上げが市況に先行し過ぎないよう今回は販価を据え置いた。

需要に関しては「東京五輪関連の工事が夏場以降に本格化する見通し。2019年ごろまでは高い需要レベルが続くのでは」(同)と建設関連に期待感を示した。

また、鋼板は「内外のメーカーで供給余力がない状況」(同)のため需給タイト感が強く、特に酸洗鋼板は枯渇感が指摘される。同社は田原工場で酸洗ラインの稼働を休止しているが「生産量が少なく、まだ稼働させる考えはない」(同)と述べた。

厚板の引き合いに関しては「全く増えていない」(同)とし、新日鉄住金大分製鉄所が厚板の生産を休止している影響はないとした。

足元の輸出商談はホットコイルがFOB530~550ドル、H形鋼が同570~590ドルと前月比で横ばい。「中国の鋼材輸出にはブレーキがかかっており、当社への引き合いは多くなっている」(同)とした。

主原料の鉄スクラップについては「1月下旬からの下落は一時的な現象。国内需要は盛り上がりを欠くが、海外要因が強いトレンドは変わっていない」(同)と語った。

同社の2月生産量は17万5千トンを予定。うちH形鋼9万トン、ホットコイル5万5千トン(うち輸出1万5千トン)、厚板1万トンの見通し。

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