1月の鉄鋼輸出、横ばいの317万トン 市況上昇も成約抑制続く

財務省が20日に発表した1月の貿易統計(速報)によると、全鉄鋼ベースの輸出は前年同月比0・2%増の317万1千トンだった。価格上昇で輸出採算は改善しているものの、国内向けの供給がタイトで成約抑制が続き、海外市況が低迷していたほぼ前年並みの数量にとどまった格好だ。

足元の熱延コイルの輸出価格はトン当たりCFR500ドル半ばで、300ドルを割っていた前年同期からは大きく上昇。全鉄鋼輸出は数量こそほぼ横ばいながら、金額ベースでは8・1%増の2498億円へと増加した。

しかし数量自体は今後も増えにくそうだ。1~3月期は国内の自動車メーカー向けが需要期で、依然として新日鉄住金やJFEスチールといった高炉大手は輸出余力がない。1月には新日鉄住金の大分製鉄所で火災のため厚板ミルが休止した影響で新規の厚板輸出商談も難しくなっている。新日鉄住金は1~3月期の鋼材輸出比率(金額ベース)が40%程度と、四半期で発足以来の最低を見込む。

またJFEは今春、西日本製鉄所倉敷地区で熱延ミルに第5加熱炉を導入し、ホットを増産する予定だが、福山地区での改修工事もあって全体では早期に供給増とはならなさそうだ。

1月の地域別全鉄鋼輸出は、ASEAN向けが4・7%増の106万7千トンとなり6カ月連続、中国向けも5・8%増の43万5千トンで3カ月連続の増加となった。一方、韓国や台湾などアジアNIEs向けは1・4%減の80万4千トンで6カ月連続、米国向けは9・6%減の11万8千トンで4カ月連続の前年割れに。中東向けも48・2%減の8万3千トンへと落ち込んだ。

全鉄鋼輸入は16・5%増の73万5千トンとなり、4カ月連続で増加。うちアジアNIEsからは25・5%増の44万9千トンへと増えた一方、中国からは13・4%減の12万9千トンで5カ月連続の前年割れだった。

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