片桐鉄工所、産業用機械で独自技術研鑽 発電向けなどニッチに挑む

専用機メーカーの片桐鉄工所(本社・新潟市江南区、社長・片桐敏郎氏)は工作機械、船舶部品、射出成型機加工組み立て、半導体設備等、時代の変遷とともに開発力を磨きながら地歩を固めてきた。現在は真空装置や紛体バルブ、発電向けロータリーバルブで専用機メーカーとして一貫生産だからこそかゆい所に手が届く。材料、機械の特性を熟知した職人集団であり、信頼性の高さに定評がある。

石炭火力発電向けロータリーバルブ

これまで代理店を通じての受注というスタイルだったが、代理店の廃業(引退)を機に4年前から自社営業にシフト。片桐直氏が営業担当として入社し、展示会などに足しげく通い、ニーズを察知するとともに自社の魅力を積極的にアピールする。

2014年には石炭火力発電向けロータリーバルブを三菱日立パワーシステムズ(呉市)に納入。同設備は中国電力大崎発電所(広島県)に設置された。試験設備は今年4月稼働予定。これまで電源開発や常磐共同火力向けにロータリーバルブを受注。ガス漏れを防ぐロータリー部分の特許が高く評価された。

時代とともに変化

高度経済成長期に先代が起業。折しも住宅ブーム。セメント瓦の普及を受けてセメント高圧装置にかかわり次いで船舶の艤装、金具など。200海里水域制限で遠洋漁業が下火になり、さらに73年オイルショックで景気低迷。エンジニアリング、インフラ、プラントなどさまざまな分野にかかわった。

その後、真空の時代と若手に真空装置を勉強する機会を作ったことも。自動車関連の製造装置は、鍛造品を均一に並べ熱処理を行うための設備。大手自動車メーカーの重要部分を支える。

使用時の環境、再現し課題発見

片桐社長は「受注する際は、実際に現場に赴いて、自分で実際にやってみることが大切。現場の人の技術を観察し応用しながら設備の機構を再現する」と語る。

図面だけでは理解できない肌感覚を大事にし、そこから製品の課題を見極める。使用時の環境を再現することは先代から継承した。

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