「DVD=3」 東京スカパラダイスオーケストラ『叶えた夢に火をつけて燃やす LIVE IN KYOTO 2016.4.14 & トーキョースカジャンボリー2016.8.6』あらゆる音楽に才能に「火をつける」ナイスミドルたち

東京スカパラダイスオーケストラ『叶えた夢に火をつけて燃やす LIVE IN KYOTO 2016.4.14 & トーキョースカジャンボリー2016.8.6』

 スカパラってすごいな。当たり前だけれどそう言わせてほしい。「スカ」という、ある一つの音楽ジャンルを名乗ってしまうことは世界を狭め、不自由さにつながってしまいそうなのに、彼らはスカという箱をどんどん押し広げてむしろ、あらゆる音楽をその箱に誘い込んでいく。飲み込んでいく。

 本作は、そんな彼らのライブ2本が収録された豪華な2枚組だ。1枚目は2015年後半より行われていた全国ホールツアーの特別追加公演、京都ロームシアターでのライブが、そしてもう1枚には第6回となるスカパラ主催のライブイベント「トーキョースカジャンボリー」での模様がそれぞれ収められている。

 「歌舞伎」をコンセプトに掲げ、講釈師の役を担ったGAMO氏による進行や、TVCMですでに話題のさかなクンとのセッションなど、いろいろ目が離せない京都での単独ライブももちろん楽しめるが、期待も満足度も高かったのはやはり2枚目だ。ジャンルだけでなく若き才能をも彼らの懐に誘い込み、ライブならではの奇跡的な演奏を(互いに)引き出しているのがとにかく楽しい。とくに出色はReiと演奏した『my mama』ではなかろうか! 華奢な身体でギターをかき鳴らし、ナイスなミドルたちの間をくるくるとごきげんに引っ掻き回していくRei。引っ掻き回されたミドルたちは、それを受け止め、さらに引っ掻き回していく。加えて、そんなステージ上のプレイに観客が熱狂すると、またステージが白熱していく。小気味好い……!

 火に油? 油に薪?上昇気流に乗っかって、どこまでも燃え上がるはちゃめちゃにごきげんなお祭り。理屈抜きで元気が出るから、しみったれた気分になったらまた観ようと思う。

(カッティングエッジ・5000円+税)=玉木美企子

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