若手アピールで熾烈争い ホークス野手陣、開幕1軍の狭き門くぐるのは誰?

分厚い戦力層を誇るソフトバンク。2月1日からスタートした宮崎キャンプも第5クールが終了した。このキャンプでは続々と若い力が存在感を発揮している。狭き門となっている開幕1軍の座。今回は野手に注目し、ここまでのキャンプを踏まえた開幕1軍争いの現状をみてみたい。

ソフトバンク・上林誠知【写真:荒川祐史】

若い力が続々と存在感発揮するソフトバンク

 分厚い戦力層を誇るソフトバンク。2月1日からスタートした宮崎キャンプも第5クールが終了した。このキャンプでは続々と若い力が存在感を発揮している。狭き門となっている開幕1軍の座。今回は野手に注目し、ここまでのキャンプを踏まえた開幕1軍争いの現状をみてみたい。

 前回は投手13人を想定したため、野手は15人(捕手3、内野6、外野6)として現状を見ていきたい。

 まず、4人の若手がA組でキャンプを送っている捕手だ。

○当確:高谷裕亮、鶴岡慎也

 ベテランの2人はマイペース調整を許され、今キャンプはB組からスタート。ただ、既にB組では実戦にも出始めており、調整は順調に進んでいる様子だ。2人は経験、実績豊富。工藤公康監督は基本的に捕手3人制を基本としており、まず2枠はこの2人が入るだろう。

○競争:甲斐拓也、山下斐紹、張本優大、栗原陵矢

 現状で3番目の座に1番近いのは、甲斐だろう。地肩の強さ、スローイングは高谷、鶴岡を凌ぐものを持っている。紅白戦で3安打するなど、打撃面でもアピール中。リード面など、課題はあるが、競争を1歩リードしていると言える。山下も23日の紅白戦で2安打するなど、打撃でアピール。もともと打撃には定評があるだけに、守備面でしっかり存在感を示したい。栗原、張本もA組で奮闘しているものの、甲斐、山下に比べれば、アピール不足か。

内野の争いは…

 次に内野だ。

○当確:松田宣浩、今宮健太、内川聖一、本多雄一

 松田、今宮、内川は不動の存在。二塁手も現状では本多が入る可能性が限りなく高い。この4人は間違いなく、1軍に名を連ねる。

○競争:川島慶三、明石健志、牧原大成、カイル・ジェンセン

 想定される内野の残る枠は2つ。川島、明石は経験は申し分なく、働きはある程度計算出来る。一芸に秀でているのは、牧原だ。チーム1、2を争う俊足の持ち主で、紅白戦では内野安打で二塁から生還するなど、存分にその持ち味をアピール。遊撃手として今宮のバックアップもできる。パンチ力もあるだけに、本多の座を脅かす存在になる可能性を秘めている。カイル・ジェンセンは、デスパイネの加入で外国人枠の関係上、1軍入りは厳しいか。A組でキャンプを送る育成選手の曽根は、まず支配下登録を勝ち取ることが第一だろう。

外野は4選手が当確、残り枠をめぐる熾烈な争い

 最後に外野だ。

○当確:柳田悠岐、中村晃、長谷川勇也、デスパイネ

 当確はこの4人。右肘痛でキャンプをB組を送ってきた柳田だが、開幕には間に合う見込み。25日からA組に合流する予定となっている。中村晃はチームに不可欠な存在。長谷川は13年に最多安打のタイトルを獲得している実力者だ。足首の不安が残るが、1軍には入ってくるだろう。鳴り物入りで加入するデスパイネは、WBCに出場するため、チームへの合流時期は不透明だ。

○競争:吉村裕基、福田秀平、塚田正義、上林誠知、真砂勇介、釜元豪、城所龍磨、江川智晃

 デスパイネの合流が遅れた場合、ジェンセンが1軍に入ってくる可能性が高いため、外野の空席は実質2つ。それを8人で争う形だ。期待が高いのは上林、真砂のホープ2人。上林はチームの実戦1号を放ち、真砂も打撃でアピールしている。福田も連日の紅白戦で結果を残している。吉村には経験と実績があり、塚田は内野(特に松田のバックアップがいない三塁)を守れるユーティリティー性がある。城所は鉄壁の守備力と俊足、江川は一発を打てる長打力が武器だ。釜元は打撃と走塁に秀でるが、この中ではいささか分が悪いか。

 投手陣と比べても、負けず劣らずの熾烈な競争となっている野手陣。ここから練習試合、オープン戦がスタートする。投手同様、ふるい落としに、首脳陣は頭を悩ませることだろう。

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani

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