6割が「ロコモ」該当 大磯町が2年間の健診まとめ

 歩行能力などを診断する「ロコモ健診」を足掛かりに健康寿命の延伸を目指す大磯町で、2年間にわたる先駆的な取り組みの結果がまとまった。受診者約800人のうち、6割ほどが骨や関節などが衰える「ロコモティブシンドローム」(運動器症候群)に該当。体操の継続で改善することも判明し、町などは介護予防に向けた運動機能向上の必要性を訴えている。

 高齢などが原因で、骨や関節などの運動器が衰えるロコモ。判断基準は2015年、日本整形外科学会が策定した。主に、▽40センチの高さに座った状態から片足で立ち上がれない▽2歩の歩幅を身長で割った値が1・3未満−などに当てはまれば該当する。

 介護予防の観点からロコモに着目した町は15年、東海大や医療機器メーカー「アルケア」と協力し、特定健康診査(集団健診)に歩行能力や下肢筋力などを測定するロコモ健診を導入。ロコモ判明者には体操教室への参加も促し、改善を図ってきた。

 町によると、集団健診の受診者は2年間で2695人(重複あり)。ロコモ健診を初めて受けたのは798人(平均年齢65・8歳、重複なし)で、このうち約6割がロコモに該当した。メタボリック症候群の2割を大幅に上回る値だった。

 また16年には、ロコモ判定を受けた54人が「おおいそアンチロコモ教室」に参加(公募含む全参加者は84人)。4回以上継続した39人のうち、約8割に当たる30人で下肢筋力の向上が見られたという。

 3者共同事業の広報担当者は、「メタボと違い、あまり自覚がないままロコモに陥っている人がいることが分かった。高齢になると運動機能は低下しやすい。この結果が筋力強化を伴う運動のきっかけになれば」と話している。

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