世界一へ、お互いを高め合う侍投手陣 “トップクラス”が共有する貴重な時間

3月の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)へ向けて、26日に宮崎での4日間の強化合宿を打ち上げた野球日本代表「侍ジャパン」。28日からは福岡、大阪で4試合の強化試合をこなし、初戦の3月7日・キューバ戦(東京ドーム)に挑む。

侍ジャパン・牧田和久【写真:岩本健吾】

宮西を驚かせる牧田の投球術とは…「すごく勉強になりました」

 3月の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)へ向けて、26日に宮崎での4日間の強化合宿を打ち上げた野球日本代表「侍ジャパン」。28日からは福岡、大阪で4試合の強化試合をこなし、初戦の3月7日・キューバ戦(東京ドーム)に挑む。

 25日のソフトバンクとの練習試合(0-2)では、打線が4安打完封を許した一方で、投手陣は6人の継投で4安打2失点と上々の内容。滑るとされるWBC公式球への対応も順調に進んでいることをうかがわせた。

 小久保裕紀監督が日本の最大の強みとする「投手力」。今大会もメジャー投手の招集はならなかったが、NPBトップレベルの選手たちが集まった。そして、2大会ぶりの世界一へ向けて、お互いに刺激を与え、良い部分を貪欲に吸収しながら、個の力を高め合っている。

 ブルペンの軸として期待されている宮西は、牧田から教わることがあったという。

「これだけいいピッチャーが集まる機会はなかなかない。その中でも、牧田さんと話していて、ランナーを背負ったときの考え方というのが…投球技術が凄いので、バッター、ランナーとのタイミングについて、どういう考え方をしているのか聞きました。秒数を大事にしているというのは、僕にはまったくない考えだったので、すごく勉強になりました」

 牧田によると、ランナーを背負った時に3秒、5秒、7秒、10秒、15秒というように、投げるまでの間を変えているという。練習では、実際にストップウォッチをボール代わりに手に持ち、投球フォームを作ってリリースのタイミングでストップを押すことで、タイムを計測。自分の狙い通りの時間に近づけていく作業をして、“体内時計”を正確にしているというのだ。

大黒柱の一人・則本も「吸収できるものもたくさんある」

 国際大会では、投げるまで10秒以上かけると相手が焦れるため、その次には早く投げるなどして、揺さぶりをかけることもあるという。前回大会で守護神を務めた経験豊富な右腕の“金言”に、9年連続50試合以上登板&通算232ホールドの宮西も“目から鱗”だったようだ。

 また、この日は増井、牧田、則本、石川、宮西、藤浪がブルペンに入ったが、報道陣に混ざって捕手の後方から真剣に投球練習を見守る千賀の姿があった。投手陣の大黒柱の一人である則本も「宮崎では間近で(他のピッチャーの)ブルペンでの投球を見ることができる。それはすごく新鮮。そこで吸収できるものもたくさんある。トレーニング方法を含めて取り込んでいけたら」と話す。

 もちろん、これは打者も同じ。中田は初日に「勉強になる、参考になるバッターが多い。みんなのバッティングを見ていると気合が入りますよね」と明かしていた。これから長く時間を共にすることで、お互いから吸収できることもさらに増えてきそうだ。

 WBC開幕まであとわずか。決勝まで進めば、侍ジャパンの選手たちは約1か月もの時間を一緒に過ごすことになる。日本トップレベルの選手たちにとっても、貴重な期間になることは確か。そして、それぞれが力を高め合えば、当然、世界一を目指すチームの力もさらに上がっていくことになるはずだ。

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