アルセロール・ミッタル、伯条鋼事業を統合 現地財閥のヴォトランチンと

アルセロール・ミッタル(AM)は23日、ブラジルの財閥、ヴォトランチンと同国の条鋼事業を統合することで合意したと発表した。ヴォトランチンの製鉄事業を伯条鋼事業の持株会社であるAMブラジルの子会社とし、ヴォトランチンは対価としてAMブラジルの少数株を保有する予定。これにより、AMブラジルは粗鋼年産能力で560万トン、圧延能力で540万トンになる。

統合でAMブラジルはモンレヴァーデ、カリアシカ、ジュイス・デ・フォーラ、ピラシカバ、イタウナの5工場に、ヴォトランチンのバラ・マンサ、レゼンデ、トレス・ラゴアスの3工場が加わる。ヴォトランチンのアルゼンチンとコロンビアの条鋼事業は対象外としている。

2015年時点のAMブラジル単独の粗鋼生産量は320万トン。ブラジルは景気低迷で条鋼の需要も落ち込んでおり、AMはヴォトランチンとの事業統合でコスト削減や物流・操業体制の効率化を進めるとしている。

ヴォトランチンは、セメントや亜鉛、アルミなど非鉄金属、パルプといった素材やオレンジジュース、銀行など多様な事業を手掛ける大手財閥。かつては新日鉄住金とともにウジミナスの大株主だった。

AMはブラジルで条鋼だけでなく、ツバロン製鉄所や自動車用鋼板を造る単圧のAMベガで薄板事業も手掛けており、伯国内では最大手の鉄鋼メーカー。今回の再編で、伯条鋼市場ではゲルダウとの2強体制が定まることになる。

© 株式会社鉄鋼新聞社