【田澤純一コラム第1回】新チームで感謝する人、味方でよかった選手とは…

メジャーの救援投手として定評を勝ち取った30歳右腕が、今シーズンは「Full-Count」で定期コラムをスタート。現役メジャーリーガーが実際に目で見、肌で感じたベースボールを生の声で伝えてくれる。記念すべき第1回は、14日からフロリダ州ジュピターで始まったスプリングトレーニングの様子をリポートしてくれた。

マーリンズ・田澤純一【写真:編集部】

マーリンズ右腕が「Full-Count」で定期コラムをスタート

 8年を過ごしたレッドソックスからFAとなり、今季からマーリンズに加入した田澤純一投手。2009年の渡米以来2Aから下積みを始め、トミー・ジョン手術を経て、2012年からメジャーに定着。2013年にレッドソックスがワールドシリーズ優勝を果たした時には、守護神だった上原浩治投手(現カブス)と共に大車輪の働きで、世界一に大きく貢献した。

 メジャーの救援投手として定評を勝ち取った30歳右腕が、今シーズンは「Full-Count」で定期コラムをスタート。現役メジャーリーガーが実際に目で見、肌で感じたベースボールを生の声で伝えてくれる。記念すべき第1回は、14日からフロリダ州ジュピターで始まったスプリングトレーニングの様子をリポートしてくれた。

—————————

 マーリンズの田澤純一です。今回からコラムという形で、僕の目から見たメジャーの様子を、皆さんにお伝えしていきたいと思います。宜しくお願いします!

 8年を過ごしたレッドソックスを離れ、今年からマーリンズの一員になりました。チームが変わるのは、渡米から9年目で初めての体験。スプリングトレーニングの場所も、フロリダ半島の西にあるフォートマイヤーズから、東にあるジュピターに変わりました。同じフロリダでも、少し雰囲気が違うような気がします。

 新チームで迎える初めての春は楽しみしかありませんが、最初の数日はチームメイトやスタッフの名前と顔を一致させることで精一杯(笑)。選手だけではなく裏方さんも含めると、結構な数の人がチームとして動いているので、結構大変なんですよ。そんな僕を助けてくれるのが、中日にいたチェン(・ウェイン)さんです。

 マーリンズの先発ローテに欠かせない存在のチェンさんは、メジャーに来て6年目になるのに、いまだに日本語がペラペラ。ビックリしますよ。練習の流れやチーム内で分からないことは何でも教えてくれるので、お陰様ですんなりチームに入ることができました。チェンさん、本当にいい人です! ありがとうございます!

 大先輩のイチローさんとは、投手と野手の違いもあり、なかなか会話らしい会話が交わせずにいますが、初めてお会いした時にご挨拶すると、優しく迎えて下さいました。キャンプ地にも初動負荷トレーニングのマシンが用意されています。一度ゆっくりとトレーニングや日々の準備についての話を伺ってみたいです。

いきなり浴びたスタントンの“洗礼”「ビックリですよ」

 イチローさんとは、この春、初めてのライブBP(フリー打撃登板)で“対戦”しました。初めて打者相手に投げる練習で、いきなりイチローさんが来るか!?って。その他にもスタントン、イエリッチ、オズナが同組。かなりヘビーなメンバーでしたね(笑)。しかも、スタントンには豪快な一発を浴びました。

 初めてのライブBPでは、普通、打者は目慣らしだと割り切ってバットを振ってこないんです。僕もコーチの指示通り、あの日はストライクゾーンに投げることに集中していたら、いきなりの洗礼(笑)。スタントンとは対戦経験がなくて初顔合わせだったのに、カーブをドンピシャで捉えられてビックリですよ。チームメイトでよかったです(笑)。

 ナ・リーグなので、マーリンズではリリーバーでも1日置きくらいにバント練習があります。ずっとア・リーグだったからメジャーでは一度も打席に立ったことがない上に、打撃はあまり得意じゃないんです。でも、さすがに1日置きに練習すると、少しずつ進歩するものですね(笑)。最近はいい感じで打球を転がせるようになりました。開幕前にはバットと打撃用手袋が到着する予定です。

 マーリンズは本拠地がマイアミにあるからか、チーム全体にゆったりとした雰囲気が流れています。ラテン系の選手が多い割には大人しいイメージ。選手が数人、集合時間に少しだけ遅れて注意されたことがあったんですが、その翌日は集合時間の10分前に全員揃ってました。結構みんな真面目なんです(笑)。レッドソックスには個性の強い選手が多かったから、余計にそう感じるのかもしれませんね。

 2月26日には早速オープン戦で登板しました。1回を無安打無失点。いいスタートが切れたと思います。これからチームとして戦っていく中で、開幕までにどんなチームになっていくのか、とても楽しみです。僕も開幕に向けて、いい調整をしていきたいと思います。また近々リポートしますね!

マイアミ・マーリンズ 田澤純一●文 text by Junichi Tazawa

© 株式会社Creative2