JFEエンジと東電FP、共同事業実施へ基本合意 廃棄物処理などインフラ分野対象に

JFEエンジニアリング(社長・狩野久宣氏)はこのほど、東京電力グループで燃料・火力発電事業を展開する東京電力フュエル&パワーと共同事業実施に向け基本合意した。電力会社とエンジニアリング会社によるインフラサービス分野で初の戦略的アライアンスとなる。廃棄物処理・リサイクル、下水汚泥の燃料化、バイオマス発電、自治体などに対するインフラサービスの4分野で半年後をめどに具体的な共同事業化を目指す。

廃棄物処理・リサイクル分野では東電FPが日当たり廃棄物処理容量550トン、発電出力2万3千kWの子会社、東京臨海リサイクルパワーを保有。一方、JFEエンジは日当たり廃棄物処理容量805トン、発電出力3300kWのJFE環境などを保有している。両社の連携によって国内2位、関東では圧倒的にトップの規模となり、操業技術の共有と最適化による設備運用効率の向上を図るなど関東圏の焼却事業領域の拡大を図る。

下水汚泥の燃料化分野では、東電FPは日当たり汚泥処理容量600トンの子会社、バイオ燃料を保有。一方、JFEエンジはアクアソリューション事業で下水処理場約400カ所の納入実績を誇り、両社の連携によって計画・建設から安定焚口確保までの一貫ソリューションによる提案力を強化していく。

バイオマス発電分野では、東電FPとJFEエンジの連携によりバリューチェーンを構築。他社バイオマス発電所向けに燃料調達・建設計画から事業運営に至るソリューションを提供するほかバイオマス発電所の共同事業運営などを推進し、化石燃料の使用量やCO2排出量削減を図る。

自治体などに対するインフラサービス分野でもバリューチェーンの構築を目指す。自治体施設や工業団地などへサービスを展開し、上下水処理場や清掃工場の事業運営、災害に強い地域インフラの構築、技術継承の支援などを行う。

一般廃棄物の焼却設備は全国1200カ所ある。発電施設数は増加傾向にあり2014年度には300カ所に達しているという。また、使用開始30年超が15%、20年超は約50%となっており、民間委託などを含め設備の整備検討に関するニーズの高まりを見込む。

また、上下水処理施設は全国に約8千カ所存在するが、諸外国に比べ民間委託率が低く今後の民間委託増加を見込んでいる。国内水道事業では約5500カ所の上水施設と約2200カ所の下水施設が運営されているが、日本の事業運営への民間参入率は他の先進国に比べ著しく低い傾向にある。しかし、自治体の予算や人材不足で民間委託需要の増加が予想されている。

一方、木質バイオマス発電設備のFIT認定取得容量は、16年9月末現在で約374万kWに及ぶが、導入済み案件は50万kWに留まっており、他社バイオマス発電所向けのソリューションサービスは市場ニーズに応えるビジネス機会とCO2対策などバイオマス発電導入を促進する社会的意義の両面で事業展開の可能性があり、東電FPの燃料調達や発電所の安定稼働ノウハウの加速も期待される。

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