【ニュースの周辺】住友商事グローバルメタルズ、来年4月から国内7社を傘下に 住商の金属事業9200億円移管

住友商事は、金属事業の一部(売上高約9200億円)を完全子会社の住友商事グローバルメタルズ(SCGM、本社・東京都中央区、社長・坂田一成氏)へ移管する。移管対象事業は、薄板(一部の国内向け電磁鋼板除く)、自動車鋼板、線材・特殊鋼、軽金属(アルミ地金除く)、厚板、建材、メカニカル・国内一般管・特殊管。このほど当初案からの変更点などが公表されたが、ポイントは主に三つ。

第一は移管時期。当初「2017年7月をめど」としていたが、社内システムの構築に万全を期すために18年4月に延期する。

第二は、(1)特殊鋼板事業部の営むステンレス事業(2)チタン・高機能材料にかかわる事業―につき、住友商事グローバルメタルズの子会社である住商メタレックスに移管する。とは言え、自動車向けなどを含むステンレス事業の過半は、住友商事グローバルメタルズへの移管となる。店売りや部品向けなど、特殊鋼板事業部の部分に限って、メタレックスに移管する。

三つ目は事業会社の株式譲渡について。当初は海外事業会社も検討していたが、来年4月の時点では、国内7社に限り住友商事グローバルメタルズに移す。(株式を移管する会社は別表のとおり)。

新会社は新日鉄住金やJFEスチールなど国内鉄鋼メーカーと取引を拡大して、来年4月からは住商グループで存在感を高める。総合力を維持しながら「グローバル展開に応じて、それぞれの地域や言語の専門家を抱えるなど、鉄鋼専門商社的な強みや機能も兼ね備えた会社にしていくのが狙い」(坂田社長)となる。

人員は約720人。このうち住友商事からの出向者がほぼ半分となる。住友商事グローバルメタルズが独自にビジネス判断を行うことが出来るよう適切な権限移譲を行う。スピード感を持った経営体制とし、グローバリゼーションへの対応を深化させるのが狙いだが、住友商事本体と一体感を持ち続けることが課題。総合力と機動力の両立が重要になる。

今回の移管後、住友商事本体に残るのは(1)シームレス鋼管を主体とする油井管(2)大径管を主体とするラインパイプ(3)鉄道の車輪・車軸や自動車向けクランクシャフト(4)アルミ地金など。住友商事の他部門と特に連携が強いビジネスが本体に残るかたちだ。(一柳朋紀)

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