原料高転嫁の2万円値上げ「おおむね理解得た」
新日鉄住金の佐伯康光副社長は3日、「原料炭の価格上昇を受けたコストアップ分の転嫁であるトン2万円の値上げについては、お客様の理解がおおむね得られた。今は、確実に浸透させている状況にある」とした上で「原料高に伴うトン2万円に加え、4月からの2017年度において、マージン改善のためトン5千円程度の値上げを行う」方針を明らかにした。国内・海外向け含む全品種全分野で、原料炭価格が上昇する以前から抱えていたマージン不足に対する販売価格への対応姿勢を改めて打ち出した格好。「来年度の課題として、まず5千円の値上げに取り組む。国内外でお客様の理解を得たい」としている。
原料価格動向は「4月以降の原料炭価格は1~3月よりも下がる見込みだが、鉄鉱石と副原料の価格が上昇している。副原料ではマンガン、合金鉄、亜鉛、錫などが上昇しており、原料コスト全体としては下がらないと考えざるを得ない」との見方を示した。
トン5千円の値上げは、16年度の夏に原料炭価格が上昇する以前から打ち出していたマージン不足への対応分。ユーザーからの品質要求(軽量化など)が高度化して生産負荷が増大し、一段の商品開発が求められていることが背景にある。
加えて、設備高齢化を受けた製造基盤の構築が大きな課題だ。「現状のマージンでは製造基盤整備のための原資が足りない」との認識を持っており「原料コスト転嫁とは別に横たわっている構造的な問題」に取り組む姿勢を改めて表明した。