「月100時間も残業させるな!」 経団連前で300人が抗議

【時代の正体取材班=田崎 基】長時間労働の是正や最低賃金の引き上げを求めている団体「AEQUITAS」(エキタス)は7日夜、東京・大手町にある経団連会館ビル前で抗議集会を行った。約300人(主催者発表)がオフィス街の真ん中で「働かせ過ぎ今すぐやめろ!」「毎日毎晩残業させるな!」と声を上げた。  政府が主導する「働き方改革」の一環で残業時間の法的規制が議論され、政府案の「繁忙期の上限月100時間」について経団連の榊原定征会長が「まあまあ妥当な水準」と評価した発言に対して抗議した。

 会社員男性(39)は20代のころ正社員として働いていた企業での経験を語った。「日本経済が低迷する中でだんだん派遣社員が契約を止められ、仕事がものすごく増えていった。残業は増え、会議室で寝る日常。朝5時から夜12時まで働くようになった。ある日会社で倒れて救急搬送された」。その上で「そうした社会を法律で認めようとしている。これから働く人に、昔の僕のような思いをしてもらいたくはない」と訴えた。

 このほかにも、労働組合の代表者や労働問題を専門とする弁護士、野党議員が駆け付けスピーチした。

 エキタスのメンバーで大学生の栗原耕平(21)さんは「(経団連の見解は)これから社会に出る上で本当に怖い」と感じ、集会を呼び掛けた。大勢の参集に「働き過ぎで体を壊している人が周りにたくさんいて危機感があるのだろう。月100時間は過労死ラインを越えている。労働者の生活を犠牲にした国際競争力など認めるわけにはいかない」と話した。

 上限規制を巡っては経団連と連合(神津里季生会長)で意見がかみ合わず、2月の会合の続いて今週中にも2回目の労使トップ会談が行われる見通し。

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