新日鉄住金ステンレス、日本最大級の防潮水門向けに高強度厚板など300トン納入

新日鉄住金ステンレス(NSSC)は8日、オールステンレス製として日本最大級の防潮水門向けに高強度ステンレス厚板など約300トンを納入したと発表した。国土交通省近畿地方整備局の和歌山下津港海岸(海南地区)水門設備工事向けで、施工は豊国工業。高さ30メートルに及ぶ大型水門の主要部材である扉体に高強度で高耐食のSUS316LNなどが採用された。

琴ノ浦水門の外観(完成直後)

NSSCは国土強靭化に向けて防潮水門のステンレス化の提案に取り組んでいる。今回の水門は和歌山市、海南市の防災を目的とする津波対策水門設置工事の一環で、琴ノ浦地区に設置された。

扉体は津波警報発令時に10分以内で自重降下して全閉し、津波による被害を防ぐ。造船技術を応用したシェルと呼ばれる高剛性構造が特徴で、飛来する海塩粒子に対する耐食性がよく、再塗装などの大掛かりなメンテナンスが不要な高強度・高耐食ステンレスが採用された。

扉体の面積は285平方メートル(高さ9・5メートル×幅30メートル)で、オールステンレス製の水門扉体としては日本最大級。SUS316LNはケミカルタンカーなどで使用される鋼種。NSSCは同厚板213トン(板厚8~20ミリ)など合計約300トンのステンレス厚板を納入した。

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