インドの熱延セーフガード、日本政府はWTOへ提訴

政府は9日、熱延コイルを対象にしたインドのセーフガード措置(SG、緊急輸入制限措置)について、WTO(世界貿易機関)へ提訴した。紛争処理機関での審理を通じ、インドの措置がWTO協定違反であることを明らかにし、措置撤回につなげたい考え。

同日、WTOに対し、一審に当たるパネル(紛争処理小委員会)設置を要請した。先月6、7日にWTOルールに基づくインドとの二国間協議を実施。同協議で解決に至らなかったため、紛争処理機関での審理に委ねる。

政府は昨年12月に二国間協議を要請。この段階では、鉄鋼製品を対象とした最低輸入価格制度(MIP)についても協定違反とみていた。インドは先月、延長措置をとらなかったため、MIPは同4日で実質失効した。このためパネルではSGについて審理される見通しだ。

日本側はインドのSGについて、WTO協定で定められた発動要件を満たしていないことなどが協定違反とみている。

インドは15年9月から輸入熱延コイルに対し上乗せ関税を課している。日本からの同製品輸出は主に冷延鋼板向けで、最終的には自動車などに使われている。

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