“情報戦”はどちらに有利に働く? 侍と対戦のオランダ、2人のNPB選手が鍵に

第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、12日に2次ラウンド初戦の日本戦(東京ドーム)に挑むオランダ代表。東京ラウンドで最大の注目カードがいきなり実現するが、オランダで鍵を握るのが、2人のNPBプレーヤーだ。

侍ジャパンとの一戦に先発するオランダ代表・バンデンハーク【写真:Getty Images】

バンデンハークとバレンティンが“データベース”に?

 第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、12日に2次ラウンド初戦の日本戦(東京ドーム)に挑むオランダ代表。東京ラウンドで最大の注目カードがいきなり実現するが、オランダで鍵を握るのが、2人のNPBプレーヤーだ。

 ソフトバンクのリック・バンデンハーク投手は先発マウンドに上がる。1次ラウンドでは、オランダにとって初戦となった7日の韓国戦に先発し、4回3安打無失点と快投。白星発進に導いた。かつてプレーしていた韓国を相手に快投しただけに、現在プレーする日本に対しても同じような結果を残したいところだろう。

 もっとも、本人は「韓国戦と同じで、私も彼らを知っているけど、彼らも私を知っている」と“警戒”。「日本のラインアップのバランスはいい。1人1人に対してアプローチしたい」と話すにとどめた。ただ、NPBではデビューから14連勝の日本新記録をマークするなど、2年間で16勝3敗、防御率3.14と好成績を残しており、日本にとって難敵になることは間違いない。

 また、4番にはヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手が座る。2013年に日本記録のシーズン60本塁打をマークした大砲は、1次ラウンドで打率.556を記録。チームを牽引してきた。「自分にはホームランを期待されるけど、これは短期決戦なので、いかにいいプレーをして勝てるかが重要。勝利に貢献するためにホームランではなくヒットが必要なら、そうしたい」。2次Rでもチームバッティングに徹する構えだ。

オランダの選手に伝わる「生の情報」、小久保監督は「対戦データはあまり参考にならない」

 日本は石川歩投手(ロッテ)が先発するが、バレンティンは「去年は良いシーズンを送った。何度も対戦しているが、素晴らしいピッチャーだ。石川も最高のものを出してくるはずだから、我々も最高の力を出し切りたい」と意気込みを明かした。

 投打のキーマンとなる2人だが、さらに期待されるのが、“データベース”としての役割。日本の選手と豊富な対戦経験を誇るだけに、元ヤクルトのヘンスリー・ミューレンス監督や選手たちは「生の情報」を2人に求めるという。

 指揮官は「2人からの情報は入ってくると思う。試合前までに色んなアドバイスを聞いて、チームづくりをしたい」と明言。さらに、レッドソックスで主軸を務めるザンダー・ボガーツ内野手は「2人が日本のピッチャーの特徴を教えてくれると思う」と話し、ヤンキースで遊撃のレギュラーを務めるディディ・グリゴリアス内野手は「チームには日本で経験を積んでいる選手がいて、情報をくれるから有利になるかもしれないね。ただ、情報だけでなくプレーでベストを尽くす必要がある」と力を込めた。

 一方、日本の小久保裕紀監督はバンデンハークについて、「(NPBでの)対戦データは見ますけど、セ・リーグの選手もいいので、それほど参考にはならないと思っています。どうすることでオランダが一番嫌がる打線になるのか考えて、一晩しっかり悩みたいと思います」と語る。大一番で“情報戦”はどちらに有利に働くだろうか。

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