【市村産業賞】新日鉄住金化学が功績賞、JFEスチールは貢献賞

新技術開発財団は10日、産業発展に貢献した技術開発者らに贈る第49回市村産業賞の受賞者を発表した。本紙関連では新日鉄住金化学が次点の功績賞を受賞するほか、JFEスチールが貢献賞に選ばれた。贈呈式は4月26日に帝国ホテル(東京・千代田区)で開かれる。

新日鉄住金化学の開発テーマは「高画質LCD(液晶ディスプレイ)向けブラックフォトレジスト(BK)インキの開発」。開発に携わった川端智也氏(機能材料事業部ディスプレイ材料部主事)、金光明氏(同)、永岡広徳氏(同)の3人が受賞する。

受賞技術は高遮光性と細線形成、高絶縁性という3つの特性を同時に実現し、液晶ディスプレイの画像を鮮明に表示させることができる。特にスマートフォンに代表される高画質液晶ディスプレイには不可欠として世界中で採用が広がり、同ディスプレイ向けBKインキのシェアは75%に達するという。

JFEの開発テーマは「電気機器の省エネに貢献する省資源型Si(シリコン)傾斜磁性材料の開発」。平谷多津彦氏(スチール研究所電磁鋼板研究部主任研究員)、笠井勝司氏(東日本製鉄所京浜地区商品技術部主任部員)、浪川操氏(スチール研究所数値解析研究部主任研究員)の3人が受賞する。

受賞技術は鋼板の表層部と中心部のシリコン濃度をコントロールした「JNHFコア」と「JNSFコア」。JNHFコアはSi濃度を表層部で6・5%、中心部でこれより低く調整した鋼板で、Si濃度6・5%の従来鋼板より優れた高周波低鉄損を実現した。

またJNSFコアは中心部のSi濃度をJNHFコアよりさらに低くし、表層部のみを6・5%に調整。3%Si鋼板並みの高い磁束密度と板厚0・1ミリの6・5%Si鋼板並みの低い高周波鉄損を板厚0・15ミリの製品で実現した。

焼鈍炉内で鋼のシリコン濃度を高める東日本製鉄所京浜地区のCVD(化学気相蒸着)連続浸珪ラインで製造し、太陽光発電のパワーコンディショナーや業務用エアコン、無停電電源装置、車載電源装置などの鉄心材料として使われている。

© 株式会社鉄鋼新聞社