鉄スクラップ電炉買値、上伸 関東、2年5カ月ぶりに中心値も3万円台

関東地区電炉メーカーの鉄スクラップ購入価格が、2014年10月以来2年5カ月ぶりに中心値でも3万円台に上昇した。東京製鉄宇都宮工場が11日から500円の買値引き上げを実施。その他メーカーも追随値上げに動いた。13日時点でメーカー実勢購入価格(H2)は2万9500~3万500円どころ。足元で500円方の続伸となった。17日から月末にかけて関東鉄源協同組合による船積みが継続するほか、今週末には電炉メーカーで三連操が控える。目先の地区需給は一段と引き締まりそうだ。

需給、一段とタイト化

13日時点で湾岸価格(H2)も3万円に切り上がった。韓国・現代製鉄は先週、日本産スクラップに対するビッドをH2=FOB3万500円で提示。3週間ぶりに日本からの手当てを再開した格好だが、先高観から市況の上昇ピッチは速まっており、大量の成約は難しいとみられる。

また、引き続き市中発生が少ない中、関東鉄源協同組合の既契約分の輸出船積みが17~22日で5千トン、21~27日で1万トン、27~30日で5千トンと月末まで続く予定。さらに今週末の18~20日は電炉メーカーが三連操に伴いスクラップ在庫を積み増すため、地区需給は一段とタイト化するとみられている。

関西500円上伸、目先も高値寄り続く

関西地区電炉メーカーの鉄スクラップ買値が13日までに、トン500円続伸してH2=2万8500~9千円となった。2014年11月以来、2年4カ月ぶりの高値水準。目先も強含み。

東京製鉄が11日に岡山工場などで買値を500円引き上げたことで、関西各社も連動した。買い高値は2万9500円も出ているほか、引き続き建値プラス500~1千円のスポット価格も出ている。

メーカーへのスクラップ入荷状況は、「3月初めに比べると少し増えてきている」(大阪市内のメーカー)もようで、メーカー在庫も適正水準を維持しているところが多い。

関西メーカーの買値は、東鉄に連動する形で3月の2週間で累計2千円強上伸している。メーカーでは「異形棒鋼や形鋼など製品内需は一服状態だが、米国のスクラップ市況が急伸していることで国際市況が強くなっており、それが日本国内のスクラップ市況にも影響している」として、今後も高値寄り市況が続くとみている。

すでに関東地区の輸出入札価格が3万1千円台なったことを受けて、今週16日に予定されている関西地区の輸出入札商談でも3万円台が出てくるとの見方が広がっている。同時に、関西電炉各社の買値も3万円台に乗せる可能性も出始めた。

中部も500円続伸

中部地区の鉄スクラップ市況が先週11日に全品種トン500上伸し、同地区実勢相場はH2=2万9千~3万1千円となった。9日に開催された関東鉄源の鉄スクラップ輸出入札において、地区実勢相場を上回る3万1千円強(H2・FAS)で落札されたことに連動して、中部電炉も建値引き上げに動いた。

関東鉄源の3月契約の鉄スクラップ輸出入札が行われた9日の時点で、落札価格は地区実勢相場を500円以上、上回っており「市況が一段上昇するのは時間の問題」(ヤード業者筋)とされていた。港湾筋によると関東鉄源の輸出入札以降、韓国向けの輸出成約が上昇傾向にあり、中心値は3万1千円(H2・FOB)どころ。「韓国筋の中には、在庫水準が適正水準に達しているものの、そうでない韓国ユーザーの調達意欲は衰えておらず、さらなる高値で成約しているケースも散見される」(港湾筋)との声が上がっている。

加工・解体由来の発生が十分でない中、地区特殊鋼メーカーは少なくとも年度内は、高水準な生産を維持する見通し。「国内外ともに原料の確保に積極的」(同)で、目先も市況は底堅そう。

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