新日鉄住金、3月契約の店売りH形鋼3000円値上げ

新日鉄住金は14日、3月契約(4月ロール)分の店売り向けH形鋼の販売価格をトン3千円値上げすると発表した。2016年10月の実質値上げを含めると5度目の値上げで、累計では2万1千円となる。原燃料や副資材価格上昇分の転嫁に加え「陥没したマージンの回復を図る」(建材営業部)。同社では採算の改善に向け、次月以降もさらなる値上げを検討していく方針。

「陥没したマージン回復」

H形鋼需要は堅調に推移。国土交通省の建築着工統計から推計した全建築の換算鉄骨量は1月単月で43万3千トンと、直近8年で2度目となる40万トン超えの高水準。再開発案件を中心とした事務所や病院などの需要が目立った。

市中荷動きに直結する2千平方メートル未満の小規模鉄骨造も1月単月で15万トンと、7カ月連続で前年同月を上回る水準となっている。

こうした中、原料炭価格は4月以降、対前期比低下が見込まれているものの、鉄鉱石や副資材価格は上昇しており原料コスト全体では上昇する見通しが強い。さらに、老朽化した設備更新など製造基盤整備を進める必要性が強まる中でマージンの喪失が重くのしかかっている。

同社は昨年10月から販売価格の是正を進めてきたが、コスト上昇分の転嫁とマージンの回復にはまだ不十分な水準で、さらなる値上げを進める。物件価格についても追加値上げを図る。

特にゴールデンウイーク明け以降に見込まれる需要の増加を考慮して、先納期物件の受注を手控えるなど価格優先の姿勢を鮮明にすることで、値上げの早期浸透を図っていく方針。

日鉄住金スチールもH形鋼値上げ

日鉄住金スチール(本社・和歌山市、社長・桂田光太郎氏)は14日、3月契約分(4月生産分)の店売り向けH形鋼価格を値上げすると発表した。ただ値上げ幅は、原料の鉄スクラップ市況が急伸していることから「1週間程度、原料動向を見極めて決定して発表する」(同社)方針。

同社が購入する関西の鉄スクラップ市況は2月後半から14日までにトン2500~3千円上伸。なお続伸気配で、関東市場に続き2014年10月以来の3万円台乗せに迫っている。このため同社では値上げ幅決定を先延べした。

同社では4月に、圧延で13・5日間(14~27日)、製鋼で10・5日間(17~27日)の定期修理を計画しており、このため同月のH形鋼生産量は通常月の半減(3月生産比では20~30%減)になる見込みという。

同日発表された大阪ときわ会まとめの関西地区2月実績は、入庫が前月比2800トン増の3万300トン、出庫が700トン増の2万3800トン、月末在庫が6500トン増の5万8200トン。2月の日当たり出庫は1190トン(稼働日数20日)で、1月比(同18日)90トン減となった。

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