愛用品を高精度で再現、大磯・旧吉田茂邸

 8年前の火災で焼失し、再建が進められていた「旧吉田茂邸」(大磯町)の公開に向けた準備が整った。近代数寄屋建築で知られる吉田五十八が設計した応接間棟や食堂棟などとともに、在りし日の宰相が愛用した調度品も再現。4月1日の一般公開に先立ち、17日に報道陣に公開された。

 応接間「楓の間」は、1979年に大平正芳首相(当時)が日米首脳会談に使用した部屋。とうや皮製のソファ、犬養毅元首相らの書簡を印刷した「ついたて」のレプリカ、吉田が使用したステッキの複製などが並ぶ。アールデコ調の食堂や首相官邸と直結する黒電話のある書斎、庭園越しに富士山を見ながら生涯を閉じたとされる寝室「銀の間」なども高い精度で再現されている。

 約3億円の募金を含む総工費は約5億4千万円。2015年に着工し、昨年5月末に事業が完了。往時の写真や焼失前の資料・写真を基に約2千万円かけて調度品を再現させた。町郷土資料館の國見徹館長(54)は「建物自体が展示資料。吉田茂が過ごした空間を感じてほしい」と話す。

 入場料は大人500円、中高生200円。26日には落成記念式典が町内で開かれる。問い合わせは、町郷土資料館電話0463(61)4700。

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