【ステンレス流通の太平工材、きょう稼働・新本社工場の狙い】平位社長「拠点集約、出荷速度2割アップ」「3工場一体運営で機能強化 」

ステンレス流通の太平工材(本社・姫路市飾磨区、社長・平位稔之氏)は、15億円をかけて新本社工場を竣工させ、きょう21日から業務を開始した。近隣の別所工場(姫路市別所町)を集約し物流の効率化を図るほか、在庫バリエーションの拡充で機能を強化していく。また新工場および新事務所には、働きやすい職場環境づくりに向けた工夫がされている。平位社長に新本社工場開設の経緯と概要、今後の事業展開について聞いた。(橋川渉)

太平工材・平位社長

――まず本社工場を新たに開設されようとしたきっかけは。

「本社工場は工場内もさることながら駐車スペースがなく、大変手狭になっていた。近くに駐車場を設けていたのだが、それでも足りなかった。そこで従業員の駐車スペースがないかと近隣の土地を探していた。そこにJFE条鋼姫路製造所さんの社員駐車場跡地が空いているとの話を聞いた。敷地が約9千平方メートルと駐車スペースには広すぎるので、思い切って新本社工場を建設することにした」

――新本社工場に別所を集約させるが。

「別所では丸棒や鋼管、形鋼を切断している。切断品は本社工場に集め出荷していたが車で30分ほどかかり、横持ちの手間や時間が無駄になっていた。特に当社は小口短納期対応を得意としているだけに、1日に何度も行き来していた。この配送を効率化するため、別所を新本社工場に集約することにした。別所の設備を移転させ、4月10日に新本社工場はフル稼働体制になる」

――新本社工場の概要は。

「倉庫面積は約5千平方メートル。加工設備は、本社からレーザ切断機3基、シャーリング2基、別所から帯鋸切断機3基を移設する。また老朽化していた本社工場のレーザ切断機とシャーリングを1基ずつ更新する。スペースに余裕があるので、今後のニーズを見ながら加工設備の増設を検討していきたい。在庫に関しては、鋼板や丸棒、アルミなど従来からある商品の鋼種やサイズのバリエーションを拡充し、全体で2割程度増やすつもりだ」

――旧本社工場は引き続き加工拠点として活用していくようだが。

「〝トドロキ工場〟と名称を改め、厚板の加工拠点として活用する。加工設備を新本社工場に移すほか旧本社事務所をつぶすので、スペース的にはかなり余裕ができる。当面は従来からあるプラズマ切断機1基で操業するが、需要動向をみながらプラズマの増設やウォータージェット切断機の導入などを検討していきたい」

――新本社工場の開設でどういった効果が見込めるのか。

「物流の効率化が大きく見込める。まず工場内は、真ん中に通路を設けトラックが一方通行で抜けられるようにした。また工場内を4つのブロックに分け加工設備や在庫を効率よく配置。在庫が素早く取りだせるよう壁際にストッカーを設置した。また新本社工場とトドロキ工場、太径丸棒を切断するえがお工場とは車で5分程度の距離になり、工場間の配送時間が大幅に短縮。3つで1つの工場という感じになる。想定では20%程度出荷スピードが向上するとみている」

「加工能力については、新設機があるとはいえ設備の台数は同じなので、従来とあまり変わらない」

――売り上げの目標は。

「現状36億円だが、19年3月末には40億円台に乗せたい。さらにそこから50億円を目指していく」

――新工場は働きやすい工夫もされているとか。

老朽化更新で新設したシャーリング

「まず工場にはエアコンを設置した。実際、の効果は分からないが、従来より働きやすくなるのは間違いない。本社事務所は、壁一面に収納を設け、極力書類を机に置かないペーパーレス化を進める。また事務所スペースの横にカフェスタイルの食堂を設けた。ガラスで仕切っているので、事務所と食堂に一体感があり、明るい雰囲気になっている。事務所2階には託児スペースを作り、育児中の社員が働きやすいようにした」

「今年4月には10人が新卒で入社するが、こういった職場環境の改善を今後のリクルート活動に生かしていきたい」

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