吸血鬼たちが25年ぶりに復活=人気ドラマ「ヴァンプ」が同じ役者で舞台に

 ブラジルのノヴェーラ(連続ドラマ)史上、最大の異色作として成功したドラマが90年代初頭にあった。そのドラマの名前は「ヴァンプ」。
 主に若者向きのコメディを放送していたグローボ局の午後7時台のノヴェーラで脚本家のアントニオ・カウモンが創作したサスペンス・ロマンスは、1991年の放送開始当初から反響を呼んだ。そして92年の放送終了から25年。今日に至るまで「ブラジルTV史に残る代表的ドラマ」として語りつがれてきた。
 その名作がこのたび、舞台劇となって四半世紀ぶりに復活。3月17日にリオのリアシュエロ劇場で幕を開け、大いに注目を集めている。
 この「ヴァンプ」は、駆け出しのロック歌手のナターシャが、成功と引き換えに自分の魂を中年吸血鬼ヴラジミール・ポランスキー伯爵に売り渡す約束をする物語だ。伯爵はナターシャを愛し、彼女のためなら何でもしたが、ナターシャは次第に伯爵から逃れ、自由を求めていく。
 今回の舞台は、オリジナルのドラマでナターシャと伯爵を演じたクラウジア・オハナとネイ・ラトラッサの2人が、そのまま演じていることでも話題となっている。
 かつてプレイボーイ誌のグラビア・モデルでもあったセクシー女優のオハナは、50代になった今もプロポーション、ワイルドな黒髪のロングヘア、そしてトレードマークの太い眉毛にほとんど変化がない。彼女は今回の「ヴァンプ」の復活について、「吸血鬼ものはいわばジーンズみたいなものよ。流行り廃りに関係なく、ずっと愛されるものね」と語っている。
 一方、伯爵役のネイは今回の復活について、「ヴラジミール伯爵は、僕にとっては舞台劇《ヴェップ姉妹の謎》での役(女性役ゆえに女装)以来の当たり役だったし、今回、こうやって自分のキャリアの最盛期を次の世代にむけて改めてアピールできるのは光栄なことだよ」と語る。すでに70歳を超え、2012年には体調を崩したことも報じられたが、意欲は衰えない。
 今回の復活作は舞台劇ということで、ミュージカルとしての要素がオリジナル以上に強くなっているが、これもオハナ自身が歌う。曲目はローリング・ストーンズの名曲「悪魔を憐れむ歌」にはじまり、マイケル・ジャクソンの「スリラー」、そしてブラジル国内からもハウル・セイシャスの「ジータ」やヒタ・リーの「ドーセ・ヴァンピロ」といった、吸血鬼にまつわるロックの名曲も歌われる。
 また、ノヴェーラの原作者のカウモンも今回のプロジェクトに参加している。今回の舞台版上演で新しいキャラクターが追加されているのも見ものだ。
 「ヴァンプ」はリオでの公演が終わった後、7月にサンパウロでも公演の予定だ。(21日付エスタード紙より)

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