新日鉄住金・進藤社長「鋼材5000円値上げ不可欠」 再生産可能な適正価格・マージン実現、鉄鉱石・副原料価格など上昇

新日鉄住金の進藤孝生社長は24日、日本鉄鋼連盟の会長定例会見の中で、新日鉄住金が打ち出した4月以降の鋼材価格1トン5千円の値上げについて、「(5千円値上げは)再生産可能な適正価格、適正マージンを実現するために不可欠な値上げ」と述べ、4月以降、顧客の理解を得るよう丁寧に対話を積み重ねていきたいと強調した。

 原料炭などの価格上昇を受けたコストアップ分の転嫁として打ち出した2016年度下期以降の2万円値上げについては、「おおむね理解を得られた。今は確実に浸透させている状況」と述べ、2万円の値上げが進んでいるとの認識を示した。

 4月以降の再値上げに関しては、コスト状況について「原料炭は下がる見込みだが、(昨夏以降の)高騰前に比べ依然として割高。また鉄鉱石、亜鉛、錫などの副原料のほか物流コストも上昇している」と説明。顧客からの品質要求に応えるためのコスト増なども含め、「(コストは)足元のレベルから下がることはなく、上昇する懸念すらある」と強調した。

 鉄鋼連盟会長としては、改めて17年度の鉄鋼需要の見通しに言及。補正予算執行や五輪関連プロジェクトの本格着工で建設用鋼材の需要が底堅いほか、自動車をはじめとする製造業向け鋼材についても堅調に推移していると指摘。「16年度を上回るという従来の見通しに変化はない」と述べた。

 一方で懸念材料として挙げたのが輸入鋼材の増加。1月の鋼材輸入は50万トンと再び急増。特に韓国からの薄板(普通鋼)輸入が急増した。この点を指摘した上で、価格動向を含め注意深く見守っていく考えを示した。

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