「福島被災地応援ツアー」の補助金不正受給会社、東京さくらツーリスト(株)が破産開始決定

 東京さくらツーリスト(株)(TSR企業コード:293057265、法人番号:6010701011941、杉並区方南1-11-14、設立平成8年3月、資本金1500万円、三橋明仁社長)は3月22日、東京地裁より破産開始決定を受けた。破産管財人には甲村文亮弁護士(真和総合法律事務所、中央区京橋1-1-1、電話03-3517-5438)が選任された。
 負債は現在調査中。

 東京さくらツーリストは平成11年11月に全国旅行業協会に入会した、国内の募集型企画旅行の企画・実施ができる第2種の旅行業者。28年3月1日までは品川区西五反田に本社を置き、国内旅行専門に自社企画の団体旅行を行ってきた。代表の人脈などを活用した営業により地元のロータリークラブや企業・学校などの団体旅行を扱っていた。
 しかし、事業運営は厳しい状態が続き、東日本大震災の復興事業として東京都が23年9月から行った福島県への観光ツアーについて一部料金を助成する「被災地応援ツアー」制度を悪用し、実体のない宿泊ツアーや参加人数を水増しして、東京都から協力補助金約235万円を不正受給した。都は都内在住者が福島県を観光する際に一人当たり一泊3000円、日帰り1500円を助成し当社を通じて旅費を割り引いていた。また、品川区からは同ツアー参加者に当社を介して配布すべき一人1000円分の商品券、合計326万円分を不正受給していることも判明した。
 この不正受給の実態が27年8月に報道され、社会的信用を一気に失い、27年12月末以降は連絡が取りにくい状況となった。その後、債務整理が進められ、不正受給の補助金は返還していたものの、その他の債務返済等の処理ができず破産による債務整理手続きを進めていた。
 なお、当社に対する全国旅行業協会への弁済業務保証金制度の認証申出件数は3月初めでは10件程度で、債権者である旅行者について「弁済業務保証金制度の認証申出」の受付を開始。弁済限度額は1100万円として5月6日まで申出を受け付けている。また、当社より加入団体の全国旅行業協会(ANTA)に旅行業登録の抹消依頼があり3月3日、登録抹消されていた。

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